「オミクロン株」急拡大から国民の命とくらしを守るための緊急要望書

内閣総理大臣  岸田 文雄 様
厚生労働大臣  後藤 茂之 様

日本医療福祉生活協同組合連合会
代表理事会長理事 髙橋 淳

「オミクロン株」急拡大から国民の命とくらしを守るための緊急要望書

 2021 年末より急速な拡大が続く「オミクロン株」を主とする新型コロナウイルス感染症は、従来株と比べて重症化率は限定的だと言われているものの、過去に経験のない感染者拡大の中で、重症患者数は徐々に増加してきています。これまでワクチン接種の対象外であった12 歳未満の若年層へも感染が広がっています。
 こうした中で、多くの医療機関、福祉事業所では、家族の感染などを事由に休業せざるをえない職員が多数発生し、医療・介護事業に支障を来すというケースも出てきています。感染者拡大だけでなく、感染拡大によって引き起こされたマンパワー不足が「医療ひっ迫」、「医療崩壊」の引き金にもなりかねない事態になっています。
 無症状感染者が多い「オミクロン株」のこれ以上の感染拡大と医療崩壊を防ぐためには、PCR検査体制の拡充と、医療や介護従事者への定期的な検査実施が欠かせません。しかしながら、現在「検査キット」や「検査試薬」の不足・滞りが顕著になっており、検査機関のキャパシティオーバーとともに、その解消が急務です。
 さらに、昨年末に行われたPCR検査などの保険点数大幅引き下げにより、医療機関では検査費用が持ち出しとなる恐れがあり、必要な検査が実施できない医療機関が出てくることが懸念されます。早急に検査保険点数を引き上げることと、検査体制の充実を図ることが必要と考えます。
 国はこうした課題に責任をもってとりくむ必要があると考えます。
 こうした観点から、以下要望いたします。

  1. 医療機関や介護・福祉施設でのクラスター発生を防ぐために、医療・介護・福祉施設で働くすべての従事者を対象者とする定期的なPCR検査を公費負担で実施すること。
  2. これ以上の急激な感染拡大を防止するために、PCR検査センターの設置・拡充、検査キットや試薬等の生産・流通の拡大などを国の責任で行うことと、検査体制拡充のための予算措置を講じること。
  3. PCR検査・抗原検査の保険点数を、少なくとも人件費を含む検査費用の「もちだし」が解消できる水準にまで引き上げること。
  4. 感染拡大に伴う医療機関や介護事業所のマンパワー不足の発生、それによる医療ひっ迫を引き起こさないために自治体との協力の下、国の責任で必要な財政支援や人材確保のための施策を充実させること。

以上