政府の新型コロナウイルス感染症患者の
「入院制限方針」の撤回を求めます

2021年8月6日
日本医療福祉生活協同組合連合会
代表理事会長理事 髙橋 淳

8月2日、政府は新型コロナウイルス感染症患者が急増する地域において、「入院療養は重症患者や重症化リスクの高い患者に制限する方針」を都道府県に要請しました。翌3日には医師会に対し往診やオンライン診療への協力を求めました。

この間政府は「国民の努力」に依拠した自粛要請とワクチン頼みの感染対策を優先し、感染拡大による医療体制の逼迫を招いたことは周知の事実です。さらに、オリンピックの開催により「国民に誤ったメッセージを与えてしまい行動制限につながらなくなり第5波を招いた」との指摘が専門家等から出されています。十分な手だてをとらずに「病床が足りなくなったから入院を制限する」というのは本末転倒です。
必要な病床と人員を確保するために総力をあげること、大規模なPCR検査体制と感染者の保護・隔離を徹底すること、十分な休業補償とセットで自粛要請することなど、今からでもできることはまだまだあるはずです。

「中等症のうち重症化リスクが低い人は自宅療養する」としていますが、自宅療養については以下のことが危惧されます。

  1. ○ 新型コロナウイルス感染症は急激に悪化するケースがみられ、自宅療養には大きなリスクを伴います。多数の自宅療養者をきめ細かくフォローすることはきわめて難しいと考えます。「助けることのできる命が助けられない。」という事態が起こりかねません。
  2. ○ 政府は日本医師会に往診やオンライン診療の協力を要請しましたが、感染の過半数を占める20代・30代の人は「かかりつけ医」をもたない人も多く、これらの自宅療養者を初診で、しかも通常業務をこなしながら重症化していないかを見極めることは不可能と言わざるを得ません。
  3. ○ 自宅療養により家族内感染が起こるリスクは大きく、感染した家族がさらに感染を広げる事態になりかねません。感染者の保護・隔離は感染予防対策の基本です。

以上のことから医療福祉生協連は、政府の新型コロナウイルス感染症患者の「入院制限方針」の撤回を求めます。また、政府に対し総合的かつ徹底した新型コロナウイルス感染症対策を講じることを要請いたします。