とりくみ

くらしを支える事業 ― 医科・歯科

病院・診療所数『 在宅療養支援病院・診療所が多数 』

200床未満59病院のうち、50%にあたる37病院が在宅療養支援病院の届出を行っており、そのうち23病院は緊急往診や看取りが一定数以上ある強化型在宅療養支援病院です。医科診療所292施設のうち、207診療所(71%)が在宅療養支援診療所で、更に在宅療養支援診療所の約半数が強化型在宅療養支援診療所です(2017年3月末日現在)。

 

病床の内訳

地域包括ケア病床が、全国の医療福祉生協で1,355床になり地域の医療機関・介護施設と連携した在宅療養への支援がすすんでいます(2017年3月末日現在)。

一般病床 9,682
 (内)緩和ケア病棟病床 216
 (内)回復期リハビリ病棟病床 1,884
 (内)地域包括ケア病棟病床 1,355
医療療養病床 1,941
介護療養病床 108
精神病床 388
病床合計 12,119

 

退院支援『 組合員の参加で自宅退院が可能に 』

退院患者に組合員のたすけあい活動や見守り訪問を紹介しています
(医療生協さいたま)

医療福祉生協の病院では、患者さんの了解のもと退院支援に組合員が参加するケースが増えています。退院後に組合員 が見守りや、日常生活支援を行うことで自宅退院が実現しています。退院支援への組合員参加は、医療・介護専門職にとって「退院後の患者のくらしを支える視点」を実践的に獲得する機会となっています。

 

歯科『 「食べられる口」づくりでくらしの質を高める 』

病棟 ― 歯科医師・衛生士とリハビリ職が連携した口腔ケア

オーラルケアチームによる病棟での口腔ケア。チームは歯科医師・歯科衛生士・言語聴覚士・NST専門療法士で構成されています
(利根保健生協:群馬県)

病院のリハビリテーション担当部署に歯科衛生士を配属し、入院患者の口腔ケアにとりくんでいる医療福祉生協があります。
口腔ケアは入院初期からはじまります。歯科とリハビリの連携のもと、寝たきりの方には足の裏が地面につくように姿勢を整えることからスタートし、首や胸の筋肉をストレッチでほぐしたのち口腔ケアをおこなっています。

 

予防 ― 口の健康をすべての世代に

歯科衛生士会と協力した歯磨き指導(栃木保健医療生協)

歯科スタッフは「口の健康をすべての世代に」を合言葉に、予防活動に積極的にとりくんでいます。組合員むけ健康講座で講師をつとめ「歯磨きセミプロ」を育成。歯磨きセミプロに認定された組合員は、班会などで歯の汚れを落としきる歯磨きを指導します。2016年度は全国で1,100回を超える「口と歯の健康チェック」が組合員により実施されました。

 

在宅 ― 医科・歯科・介護の多職種連携

在宅医療では、医科・歯科・介護の多職種連携で口腔ケア・口腔リハビリテーションをすすめることによって、誤嚥性肺炎などの予防と栄養状態の改善にとりくんでいます。

 

くらしを支える事業 ― 看護・食事・介護・住まい

看護『 急性期から在宅医療まで 』

急性期病院から診療所・訪問看護ステーション・介護事業所などで、12,000人を超える看護職員が働いています。生協間国内留学制度やクリニカルラダーを活用し、学びあい、育ちあいを実践しています。

クリニカル・ラダーを活用

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医療福祉生協連は看護師向けに「医療福祉生協のクリニカル・ラダー」を作成・運用しています。クリニカル・ラダーを通じて一人ひとりの看護師の能力を適切に評価し、看護師としてのキャリア開発を行っています。
クリニカル・ラダーは5段階で構成されており、それぞれのレベルで看護実践・コミュニケーション・倫理・ 生協に関する力などの評価項目が設定されています。
2013年度からは、クリニカル・ラダー評価者育成にとりくむと共に、看護管理者を対象にマネジメント・ラダーを運用しています。

認定看護管理者・認定看護師が活躍

全国の医療福祉生協では、20名の認定看護管理者と130名を超える認定看護師が活躍しています。緩和ケア、感染管理、認知症などの分野で質の高い看護の提供をめざしています。


 

食事『 配食事業に安心を添えて 』

組合員が集まって料理をつくる「お食事班会」が盛んにおこなわれています。地域購買生協と連携したとりくみや、注文を受けて組合員がお弁当を届ける高齢者専門宅配弁当事業(見守り兼)を行っている生協など、それぞれの地域に応じた事業を実施しています。


 

介護『 医療・介護・助け合いをつなぐケアマネジャー 』

全国の医療福祉生協では900名をこえるケアマネジャーが活躍しており、医療・介護事業と組合員の助け合い活動をつないでいます。ケアマネジャーと地域の組合員が、協同でくらしの困りごとの解決にむけて行動することが特徴です。医療・介護・組合員活動の連携を通じて地域包括ケアの実現に貢献しています。

ケアマネジャーと組合員の懇談会。くらしの困りごとを組合員の助け合いがカバーすることで、専門職の専門性が発揮されます(広島医療生協)

医療福祉生協で働く専門職と組合員が参加した地域ケア会議の様子。実際のケースをケアマネジャーが報告、ICF(国際生活機能分類)を活用して生活行為の向上をめざした議論が行われています(姫路医療生協:兵庫県)


住まい『 人が集まる住まいに医療・介護のバックアップ 』

全国でサービス付き高齢者向け住宅19、有料老人ホームなど12か所が運営されています。ほとんどの住宅には、診療所や訪問看護ステーションなどを併設し、いざという時の安心を提供しています。小規模多機能型居宅介護支援事業所などを併設した「拠点型サービス付き高齢者向け住宅」もあります。 新潟医療生協が運営する、医療・介護・集いのひろば「なじょも」には、サービス付き高齢者向け住宅、診療所、デイサービス、ショートステイ、産直市場、大浴場、交流スペースなどがあります。保育園児・小学生から高齢者まで毎月1万5,000人が訪れる場所です。

住まい・医療・介護のひろば「なじょも」(新潟医療生協)

学童クラブ「なじょも」(定員100名)。


くらしを支える人を育てる ― 学び・人材育成

総合診療専門医(家庭医)の育成

医療福祉生協連は、総合診療専門医の育成を進めるために、2005年に家庭医療学開発センター(藤沼康樹センター長 Centre for Family Medicine Development:CFMD)を開設し、教育・研究活動、診療所開発を行っています。
CFMDは、総合診療専門医の育成と研究活動を中心に、主に5つの活動を行っています。

CFMDの研修風景

  • 日本専門医機構の総合診療専門研修プログラムを運営
  • 日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療後期研修プログラムを全国6か所で運営
  • 後期研修プログラム終了後、さらに学び続けたい医師のためにフェローシッププログラムを運営
  • 家庭医療学の研究
  • 家庭医療の実践を行う診療所の開発と診療所に勤務する看護師の育成


臨床研究を行う医療福祉生協診療所ネットワークを運営

医療福祉生協連の家庭医療学開発センターでは、2011年より「臨床研究を行う医療福祉生協診療所ネットワーク」を立ち上げ、総合診療専門医の研究教育分野をリードしています。医療福祉生協の診療所を中心にグループを形成し、現場の問題意識に応じた臨床研究を計画・実行しています。

 

地域を支えるプライマリ・ケア診療所看護師を育成

在宅医療の進展にともない、診療所や病院外来における看護の役割も変化してきます。CFMDでは、予防医療やヘルスプロモーションを地域に発信していく役割や多職種連携の要となる役割など、従来の看護にとどまらない役割を身につけた地域を支えるプライマリ・ケア診療所看護師を育てる研修を実施しています。

 

働きながら介護福祉士をめざす人を応援

医療福祉生協連 介護福祉士実務者研修通信課程
医療福祉生協連は働きながら介護福祉士をめざす人のために、介護福祉士実務者研修通信課程を開講しています。
2017年には、全国の医療福祉生協25会場でスクーリングが実施され、625名の受講生を受け入れることが可能となりました。講師陣は総勢150名。全員、医療福祉生協の現場で働いている現役の介護福祉士・看護師です。近隣介護事業所で働く人々も利用可能で、地域の介護人材育成を支えています。

スクーリングの様子(医療的ケア)。講師は現役の看護師がつとめています。

講師キャリアアップ研修の様子。質の高い介護福祉士の養成をめざしています。


毎年60コースに1万5,000人が受講する「医療福祉生協の通信教育」

医療福祉生協連は、組合員に学びの場を保障しています。全国の医療福祉生協は「医療福祉生協の通信教育」にとりくんでおり、毎年1万5,000人の地域組合員・職員組合員が受講します。医療福祉生協の基礎を学ぶコースや資格対策、管理者向け経営分析、コミュニケーション能力を高めるコースなど、開講コースは全部で60コース以上あります。

「おたがいさま」を合言葉に ― 助け合い

3つのつくろうチャレンジで私の困った・地域の困ったを解決

医療福祉生協は3つのつくろうチャレンジにとりくんでいます。3つのつくろうチャレンジは「おたがいさま」を合言葉に、だれもが住みやすい地域づくりをめざしています。

協議体での活用事例も。「つながりマップ」で地域のつながりを「見える化」

組合員は自分が住む地域のつながりマップ、職員は自分が働く事業所を中心としたつながりマップを作成します
(鹿児島医療生協)

組合員が住む地域や、病院など事業所がある地域の現状がわかる「つながりマップ」づくりにとりくんでいます。自分が住む地域にあるくらしの問題を解決するために、自分たちでできること、地域の様々な人々と連携してとりくめることを見つけ、具体的な行動につなげています。
社会福祉協議会や地域包括支援センターと一緒にマップを作成するのが最近の傾向です。作成したマップが協議体で活用される例も出てきました。


居場所づくりで安心づくり(2016年度末 1,010か所)

空き家を活用して毎週開かれているお茶飲み会。ここで育まれたつながりが、いざという時の安心につながります
(南大阪医療生協)

居場所は、空き家を借りたり、事業所のスペースを利用したり、組合員の自宅や公民館を利用するなどして運営しており、お茶会・食事会、健康づくり活動、おしゃべりなど、人と人をつなぐ場として広がっています。居場所の中には、介護保険法における総合事業の一般介護予防事業や通所B型に登録されているところもあります。
高齢者のみならず、若い世代にとっても孤独が大きな生活上の困難となっている現在、気軽に足を運ぶことができる居場所づくりは、人と人とのつながりによって成り立つ生活協同組合の本来の活動です。


自分たちでできることは自分たちで日常生活圏域での助け合い

くらしの困りごとを組合員同士で助け合います(富山医療生協)

くらしの困りごとの解決に向けて「自分たちでできることは自分たちで行う」ことを大切にしています。組合員が必要なもの・仕組みを自分たちの手でつくりだすことをサポートし、地域コーディネートを担う職員が全国に510名配置されています。
全国の医療福祉生協では、有償・無償の助け合い活動が行われています。2016年度は4,895名が2万6,000回をこえ る助け合い活動を実施しました。買い物・病院への付き添い・草むしり・除雪・宅配便の荷解き等、くらしの「困った」を「おたがいさま」で解決しています。


つながりで明日をもっと元気に ― 健康づくり・フレイル予防

健康づくりでつながりづくり

医療福祉生協では、組合員が3人以上あつまって、医師・看護師・セラピスト・歯科衛生士・介護福祉士などの専門家と一緒に血圧・体脂肪・尿チェック(尿蛋白、尿ブドウ糖、尿潜血)などの健康チェックを実施したり、病気の予防や健康づくりについて学ぶ「班会」を行っています。
2016年度はのべ14万回の班会に95万人の組合員が参加しました。「くらしの場で複数人が集まって、専門家の力を借りつつ主体的に行う」。これが医療福祉生協の健康づくりの特徴です。
健康づくりのリーダー育成を目的にテキストを使って保健学校を開催したり(164回実施、1,741名卒業:2016年度)、歯磨きセミプロ、運動サポーター、食のアドバイザー、禁煙アドバイザーなどを養成しています。

医療専門職を招いた班会の様子(利根保健生協:群馬県)

保健学校の卒業生は保健委員として登録され、まちかど健康チェックで活躍しています(長野医療生協)


11万4,000人がとりくむ健康チャレンジ

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医療福祉生協は、組合員がめざす健康習慣として「8つの生活習慣」と「2つの健康指標」を定め、健康習慣の具体的実践として全国の医療福祉生協は禁煙や運動などを一定期間実施する「健康チャレンジ」にとりくんでいます。2016年度は11万4,000人が健康チャレンジに参加しました。
健康チャレンジは数多くの健康づくりコースからいくつかを選んでとりくみます。友人・職場・家族などのグループでエントリーして、実践を毎日記録し結果を報告します。
健康チャレンジの多くは、自治体の後援を得て実施しています。


おいしく たのしく みんなで減塩

市内繁華街の商店街で「まちかどですこしお~みそ汁味くらべ」を行いました(高知医療生協)

健康づくりの一環で「すこしお生活(すこしの塩分ですこやかな生活の略称)」をすすめています。「すこしお生活」は、医療福祉生協の健康習慣で定めた一日の塩分量6g未満を無理なく習慣化していくことをめざした減塩活動です。
ひたすらに減塩を実践する活動ではなく、班会など多くの人たちが参加する場で味覚を大切にし、「おいしく たのしくみんなで減塩」を実践しています。


「すこしおレシピ」
コンテスト

職員・組合員が知恵と工夫を凝らした「すこしおレシピ」のコンテストを実施しています。少ない塩分量でも美味しくという思いが伝わってくるレシピがたくさん寄せられます。 採点は管理栄養士が行います。

 


世界の保健協同組合と ― 国際活動

海外から注目される医療福祉生協の活動

アフリカからの視察団を受け入れました(東京保健生協)

超高齢社会における持続可能な医療・介護のあり方のひとつとして、医療福祉生協が提供する組合員参加型の医療・介護サービスが注目されています。消費者である地域住民が資金を出し合い医療・介護事業を運営するという仕組みは世界でもめずらしく、組合員による班活動・健康づくりとあわせ海外からの研究・視察依頼が寄せられています。


国際団体の会長・副会長国として貢献

APHCO理事会にて
後列中央が藤原高明代表理事会長理事

国際協同組合同盟(International Co-operative Alliance:ICA)は1895年に設立され、後に国際連合に登録された世界最大のNGO(非政府組織)です。医療福祉生協連は、その保健部門である国際保健協同組合協議会(IHCO)の副会長国として、また、アジア・太平洋地域保健協同組合協議会(APHCO)の会長国として、世界の保健協同組合をリードしています。


健康づくり活動を推進する人材の育成

歯科医師・歯科衛生士を対象に
「口からの健康づくり」の研修会を実施
(モンゴル・ウランバートル市)

健康づくりにとりくんできた医療福祉生協のノウハウを諸外国に伝える活動にとりくんでいます。医療・介護専門職、組合員それぞれの立場から積み重ねてきた経験を伝え、住民主体の健康づくりに貢献しています。


くらしの視点で健康なまちへ ― 復興支援

協同組合間協同でくらしを支える

生協くまもと店舗での健康チェック

熊本地震発災直後は医師・看護師による医療的支援、介護職員による高齢者・障がい者への生活支援を実施しました。生協くまもとの店舗では、医療専門職による健康相談会や血圧、骨密度、体脂肪などを測定する健康チェックを行いました。
生協くまもとの組合員が自分たちで健康チェックを実施できるよう、健康チェックサポーター養成講座を開催。養成講座を修了したサポーターが健康チェックの会場各地で活躍しています。


被災者の健康づくりをサポート

避難生活が長期化している東日本大震災被災地では、震災関連死や健康不安、仮設住宅から災害公営住宅・復興公営住宅等への転居にともなうコミュニティ再構築など、いくつかの課題を抱えています。
東北地方の医療福祉生協を中心に、仮設住宅などでの健康チェックを継続し、被災地でのくらしを支援しています。福島県内の医療福祉生協は放射線量測定などを継続し、被ばくリスク低減にむけたとりくみを継続しています。