たまりば「ゆいの家」から地域を元気に 群馬中央医療生協:comcom5月号

群馬中央医療生協

群馬中央医療生協の大泉千代田支部は、群馬県邑楽郡大泉町を中心に、1997年から活動を続けています。群馬県の東南に位置する大泉町は、南は利根川を挟んで埼玉県熊谷市に隣接。製造業が盛んで、人口約4万人のうち約16%がブラジルやペルーなどの日系外国人が住む、国際色豊かなまちです。

居場所をつくろう

大泉千代田支部の森下秀子さんたちが、お茶とお菓子を準備

大泉千代田支部は、本部や前橋協立病院がある前橋市まで約40キロメートル、一番近い診療所も隣の太田市まで行かなければなりません。そのため、班の活動は公民館など公共施設を借りておこなっていました。「『自分たちの居場所がほしいね』と、ずっと熱望していたんですよ」と振り返る、大泉千代田支部の森下秀子さん。条件の合う場所はなかなか見つからない中、本当に居場所をつくれるのか、具体的にどうやって運営するのか不安もありました。

「ゆいの家」外観

2015年3月、支部運営委員は、栃木保健医療生協・宇都宮東支部の居場所「陽だまり」を見学に行きました。まるで自宅に招かれたようなアットホームな雰囲気を見て、「こんな場所をつくりたい」と、想いはますます募っていきました。そんなとき、元理事の木本洋子さんから「自宅近くの空き家を大家さんが壊すといっている」という話が舞い込んだのです。広い道路に面した平屋建ての家は、支部の居場所にピッタリ。「壊さないで、ぜひ貸してほしい」と申し出ました。それからとんとん拍子に話がまとまり、「大家さんに許可していただき、自分たちで壁を抜いて部屋を広くする作業をやりました」と森下さん。組合員に得意な人がいて、端材で床も張ったといいます。

こうして準備がすすみ、「ゆいの家」の名称で9月4日にオープン。現在、毎週金曜日の午前10時~午後4時まで開館し、ロコモティブシンドローム予防の「介護予防体操教室」や認知症予防の「脳いきいき教室」などをおこなっています。午前中だけで帰ってもいいし、午後も開いているので、残っておしゃべりする人もいます。

行政とともに介護予防体操

群中ロコモ体操

「群中ロコモ体操」を指導する、医学体操指導者の松尾初美さん

群馬中央医療生協がおこなう健康づくり活動のメニューの一つに、「群中ロコモ体操」があります。これは、高齢者も無理なくとりくめる、骨・関節・筋肉・神経などの運動器に着目したロコモティブシンドローム予防と改善をめざす運動。開発と普及に努めてきたのは、元体育教師で、現在は医学体操指導者の松尾初美さん。松尾さんは群馬中央医療生協の常任理事を務めます。

松尾さんを講師に、ゆいの家でも、この体操をおこなっています。支部が大泉町企画部国際協働課に相談したところ、住民がまちとともに地域の多様な課題解決にとりくむ「協働のまちづくり事業提案制度」を紹介されました。早速、「脳いきいき教室」の開催と合わせて申請。2015年度の「地域まるごと健康づくり事業」として採択され、町内に住む65歳以上の方に向けて12回おこないました。

国保介護課の保健師、岩瀬良子さん

「大泉町は、2016年3月1日から介護予防・日常生活支援総合事業を実施します。地域づくりとしての介護予防を住民全体ですすめていかなければならないと考えているところです」と、国保介護課の保健師、岩瀬良子さん。「体操して終わりでなく、サロン活動に発展し、自分たちがやりたいという気持ちを引き出していることがすばらしいと思います」と、ゆいの家に関心を寄せています。

広がる支部の活動

ゆいの家を拠点として、大泉千代田支部の活動は大きく広がりを見せています。11月には、支部主催の「木琴リサイタル」を実現。企画から事前準備、当日の運営まで支部が担い、会場の大泉町文化むら大ホールがいっぱいになるほどの参加者が集まりました。公演終了後、演者を招いて、ゆいの家で食事をしました。このイベントに参加した大川スイさんは、「生まれて初めて木琴の生演奏を聴きました。すごく良かった」と感想をいいます。

支部が主催しておこなった「木琴リサイタル」。会場の大泉町文化むら大ホールがいっぱいに

2月初旬、松尾さんを中心に支部が、大泉町公民館主催の「ロコモティブシンドローム」講座を担当し、多くの住民が参加しました。この講座をきっかけに、体操教室へ参加するようになった小野寺みどりさん。「ゆいの家に来て、いろいろな話を聞くのが楽しくてならない」と、笑顔で語ります。
2人で参加した赤間さん夫婦(左端)と、小野寺みどりさん(右から2人目)。体操の後は、みんなでおしゃべりを楽しみます

ゆいの家で“優しさ”を感じる

「ゆいの家ができて、みなさんが優しくなったように感じる」という、支部長の川島玲子さん。その理由について、こう話しました。「公民館を借りていたときは、決められた時間内で終わらなければいけませんでした。でもここは、午前中に体操が終わってからも、お茶を飲んで、お菓子を食べて、夕方まで自由に話ができます。それが、気持ちのゆとりにつながっていると思います」

大泉町企画部国際協働課の加藤博惠課長は、「ご近所で歩いていける距離に、運動ができて、おしゃべりができる『ゆいの家』のような場所が、町内のあちこちにできればいいですね。」と、医療福祉生協の活動に期待を込めます。

大泉町企画部国際協働課課長の加藤博惠さん(右から2人目)

事業所から離れた地でも、人が集う場所ができたことで、健康づくりだけでない、幅広い活動の可能性を見せる大泉千代田支部。「ゆいの家」を拠点に、これからも地域に元気を発信していきます。

(編集部)
写真:大村洋介

<群馬中央医療生協>

ゆいの家

●設立年月日  1951年3月15日
●組合員数   3万6,721人
●出資金    9億9,260万4,600円
●支部・班数  36支部 253班
●事業所数   病院1 医科診療所3 歯科診療所1 介護関連24
※2016年2月29日現在