「おいしいね」の笑顔があふれる宅配弁当 ながおか医療生協:comcom10月号

宅配弁当

 1/お弁当を受け取る中村さん
 2/「こんにちは、お弁当届けに来ました」と、組合員の村山幸子さんが笑顔で手渡します

 

「こんにちは、お弁当届けに来ました」
「いつもありがとう」
―笑顔でお弁当を受け取ります。

新潟県長岡市にあるながおか医療生協は、60歳以上の方を対象に、自宅へお弁当を届ける「高齢者専門宅配弁当」事業をおこなっています。

宅配弁当の必要性を感じて

調理師の橘寿さん
きっかけは、2004年10月に起きた中越地震。新潟県中越地方を震源として発生した大地震は、高齢者や子どもを中心に68人が死亡、家屋の全半壊はおよそ1万7000棟に上るという大きな被害に見舞われました。ながおか医療生協は多くの被災者を受け入れる中で、高齢者や障がいを持つ人は、災害に見舞われるとたちまち住む場所や食事に困るという状況を目の当たりにしました。その経験から、最初はデイサービスの厨房を利用し、弁当を10~15食ほど作り、配達を始めたのです。いざ配達してみると、地域には高齢者を中心に、食事に困っている人がいることが分かってきました。

ながおか医療生協の宅配弁当の特徴は、昼食・夕食で2回に分けて作りたてのお弁当を届けること、その日の急な注文やキャンセルも受け付けていることです。さらに、1週間に1回でも、昼食のみ、夕食のみでも利用できます。献立は和食が中心。管理栄養士が考え、調理師が作り、汁物も付くお弁当は、希望すればお粥やきざみ食にも対応します。現在は、ながおか医療生協の介護付き有料老人ホーム「アシスト笹崎」と「あらまちデイサービスセンターらくらく」の2か所の厨房で調理しており、2014年度は、月平均約2600食を配達しました。

アシスト笹崎でお弁当を作るのは、調理師の橘寿(たちばな ひさし)さん。以前は、群馬県のホテルなどで板前として働いていました。橘さんやスタッフが「おいしく食べてもらいたい」という思いをこめて作ったお弁当は、おいしいと評判です。

 3/介護付き有料老人ホーム「アシスト笹崎」でお弁当を作る、調理師の橘寿さん
 4/毎食、心をこめて作るお弁当は、汁物付きで、1食550円。お粥やきざみ食にもできます

多様なニーズにこたえて

配達に出発する組合員さん

 5・6/配達に出発する組合員の塩谷正さん(左)と村山幸子さん

一人暮らしの中村さんは、以前、夫婦でお弁当を頼んでいました。夫が施設に入り、昼間は夫のところに通っているので、自分の夕食を用意するのが大変だといいます。「お弁当を届けてもらうのはとっても助かるんですよ。おかずもたくさんあって、すごくおいしいです」と中村さん。

常勤理事の大高佳代さん

常勤理事の大高佳代さんは、「最近は、家族とくらしていても、お弁当を頼む人も多いんです」といいます。同居していても、働いている家族と食事の時間が合わない、気を使わせるのが申し訳ないなど、理由は様々です。

長岡市は、毎年冬になると2メートル近い雪が降り積もる、日本でも有数の豪雪地帯です。配達をしている組合員の村山幸子さんは、大雪の中で車が動かなくなったことがあり、近くのガソリンスタンドまで歩いて助けを求め、なんとか届けたそうです。雪の中でお弁当を持っていくのは大変ですが、そういうときこそ、待っている人がいます。「届けに行って、『ありがとう』という声を聞くとうれしいですね。一人暮らしの方とお話が弾むこともあります」

また、お弁当を届けることは、見守りも兼ねています。村山さんは、「玄関で声をかけるといつもは返事があるのに、反応がなく、様子がおかしいと事務所に連絡したこともあり、小さな異変も見逃さないようにしています」と語ります。

組合員が主体の互助サービス

組織事務局課長の藤田明美さん

ながおか医療生協は、お弁当を頼む人も配達する人も組合員で、「有償」の互助サービスと位置づけています。日々、配食注文の受付や配達する組合員の調整などを担うのは組織部。毎回個数が変動するため、厨房との連携にも気を配ります。組織事務局課長の藤田明美さんは、「1週間分まとめて注文してもらえば無駄がないし、配達も1日1回にしたほうがいい。本当なら、今の方式では効率が悪いんですよ。でも、お一人お一人の生活スタイルに合わせたきめ細かな届け方に意味があるし、安否確認も兼ねています」と話します。

今年4月からは、「ちょっと たのむ手」という「ながおか医療生協型相互支援サービス」が始まりました。電球の交換や草取り、話し相手がほしいといった、ちょっとした頼みごとを、組合員がお手伝いする活動です。30分450円のチケット制で、頼む人を「たのむ手さん」、支援する人を「まかせ手さん」と呼び、ながおか医療生協がそれぞれをつないでいます。

この日、ながおか医療生協が運営する地域交流空間「わいが家」にボランティア活動で集まっていた遠藤千代さんは、最近このサービスを利用しました。「天井のカーテンレールを取り替える作業が難しくなって、お願いしたんですよ。値段もちょうどいいし、遠慮しないで頼めます」と利用した感想を語ります。「何より、顔を知っている組合員さんが来てくれること。組合員同士の助け合い、気心の知れた人だからいいですよね」

住み慣れた地域でくらし続けるのに欠くことのできない食を中心に、くらしを支える助け合いの活動が広がっています。

「わいが家」でボランティア活動

 7/遠藤千代さん(左)と高橋ミチ子さん
 8/ながおか医療生協の地域交流空間「わいが家」でボランティア活動

(編集部)
写真:大村洋介

 

ながおか医療生協

<ながおか医療生協>
●設立年月日 1994年11月24日
●組合員数  9,012人
●出資金   3億6,662万5,000円
●支部・班数 8支部 49班
●事業所数  医科診療所4 介護関連22 病児保育室1
※2015年7月31日現在