「地域包括支援センターととりくむ認知症カフェ」姫路医療生協:comcom9月号

認知症カフェ

永井さん

「歯が数本の人は、歯が20本以上残っている人に比べて、認知症発症リスクが高いんですよ」と、姫路医療生協共立歯科診療所で勤務する歯科衛生士の永井ひとみさんが、口腔ケアの大切さを伝えます。同生協の「福祉介護センターてがら」の小規模多機能ホームでおこなわれているのは、姫路市山陽地域包括支援センターが主催する「認知症カフェ ~ホッとサロン~」です。

誰でも参加できる 認知症カフェ

飾り付けやゲーム

「認知症カフェ」は、認知症の人やその家族の居場所として、また、医療や介護の専門職、支援者や地域の人など誰でも気軽に参加できる情報交換や相談の場、地域の中で認知症の知識を普及する場として注目されている活動です。運営主体は自治体やNPO法人、医療機関など地域によって様々で、決まった形があるわけではありません。

姫路市では、地域包括支援センターが地域住民や関係機関と連携して開催しています。「認知症カフェ ~ホッとサロン~」は山陽地域包括センターの呼びかけで、2014年9月から始まりました。認知症に関心のある人なら誰でも参加でき、参加費は100円。毎回テーマを決めて認知症について学び、お茶やお菓子を食べながら気楽に交流します。これまでに、薬やユマニチュード(認知症の方をケアする方法)など多くのテーマで実施しました。

リラックスして話せる雰囲気づくり

 1/テーブルをクロスや花で飾り付け
 2/やってみると難しい、認知症予防のゲーム
 3/お茶とお菓子をお供に、リラックスして話せる雰囲気づくり

地域で深まる認知症理解

中野さん

当日の企画や運営、開催のお知らせは地域包括支援センターと姫路医療生協が協力しておこないます。テーブルにクロスをかけ、敷地内で育てた花を摘んでリボンやペーパーで飾り付けるなど一つひとつ準備し、居心地のいいカフェ空間を作ります。

「近所の人が来てくれるのはうれしいですね。介護を抱えている人や、自分が認知症にならないための話を聞きたくて参加している人もいますね」と話すのは、姫路医療生協理事の名原登さんです。福祉介護センターてがらセンター長の中野啓民さんは、「組合員さんに参加を呼びかけているほか、民生委員さんや自治会長さん、チラシを見た地域の方も参加されるんですよ」といいます。

この日の講師を担当した永井さんは、認知症予防に効果がある体操を織り交ぜながら、口腔ケアの大切さを分かりやすく伝えました。学習が終わると、「コーヒーと紅茶、ホット・アイスはどうしますか?」と注文を聞いて回ります。この様子は、まさにカフェのよう。飲み物とお菓子をいただきながら各テーブルで話に花が咲きます。

姫路医療生協の34の支部は、認知症や地域包括ケアに対応した各支部の方針を重視し、支部総会に地域包括支援センターの方を招いて交流するなど、地域包括支援センターと協同したとりくみがすすんでいます。

久保田さん(左)と前田さん、陽地域包括支援センターの皆さん

高浜支部支部長の前田美智子さんは認知症カフェに参加するだけでなく、地元の地域包括支援センターの方に講師に来てもらい、自分たちの支部で「認知症サポーター養成講座」を開催しています。「講座の後で参加者の方が、『怒ったら良くないんやなぁ』『勉強になった』といった、普段の付き合いの中では聞かないような話をしてくれたんです」と講座の効果について教えてくれました。

地域で見守り 見守られるまちづくり

歯ブラシのプレゼント

 4/共立歯科から、歯ブラシのプレゼント
 5/歌を歌いながら体操
 6/事業所ごとに、それぞれ理念が掲示してあります

理念の掲示

同じテーブルで話を弾ませるのは、手柄支部の鍛示文子さんと中西園子さん、手柄支部支部長の中里公子さん、民生委員の藤井なおみさんです。認知症カフェが始まったときから参加しているメンバーもいるといいます。認知症の方へのとりくみを話す中で、「でんちゃんプロジェクト」の話が出ました。

「でんちゃんプロジェクト」は、姫路市大的(おおまと)地域包括支援センターが地域支えあい会議を開催して話し合い考案した、認知症見守りワッペン「でんちゃん」を着ける活動です。当初は、徘徊者など見守りが必要な人につけてもらう「出かけたいでんちゃん」のみの作成が検討されていましたが、活動の趣旨を理解し、広報活動を担う人に着けてもらう「伝えたいでんちゃん」も作成されました。

姫路医療生協は、認知症の人を地域全体で支える「でんちゃんプロジェクト」に賛同し、機関紙などを使って協力を呼びかけました。このとりくみは、近隣地域や警察からも問い合わせがあるほど反響を呼び、今では、姫路市内全域での活動にまで広がりを見せています。

姫路市山陽地域包括支援センターの佐柳良子さんは、「今後はもっと小さい単位、小学校区より小さい単位で地域の方と触れ合っていけたらいいですね。認知症だけでなく、財産問題や虐待といった困り事の支援など、少しでも身近に感じてもらえる活動をしたい」と語ります。

認知症カフェでの楽しい話は尽きませんが、あっという間に終了の時間です。地域包括支援センターと協同した姫路医療生協のとりくみは、支部の活動を通じて広がっています。

参加した中里公子さんは、この日がお誕生日。急きょ、みんなでお祝いしました

でんちゃんプロジェクト

認知症の方が住み慣れた地域で安心してくらすための地域づくり、徘徊者の見守り方法のひとつとして、大的地域包括支援センターが地域住民と話し合って考案したワッペン。ワッペンの製作は、地域のボランティアが協力しています。

出かけたいでんちゃん

徘徊の可能性がある方用
「気(黄)をつけて見守ってください」という意味で、黄色のカタツムリ

【使用方法】

  • 徘徊の可能性がある方で、本人および家族が希望する方が購入(200円)
  • ワッペンの裏に、ご本人の名前、住所、家族の連絡先を書く
  • 本人が気にならず、外から見える場所につける
伝えたいでんちゃん

広報活動支援者用
認知症支援のシンボルカラーである、オレンジ色のカタツムリ

【使用方法】

  • 出かけたいでんちゃんの趣旨を理解し、広報活動が可能な方が購入(200円)
  • 左肩など、見えやすい場所につける

「でかけたいでんちゃん」装着者を見つけた場合

  • 「どこに行くの?」など、優しく声をかける
  • 自然にワッペンをめくり、裏の情報を見る
  • 連絡先に電話し、家族または警察が到着するまで安全な環境で保護する

(編集部)
写真:鈴木茂夫

 

福祉介護センターてがら<姫路医療生協>
●設立年月日 1974年8月1日
●組合員数  2万1,215人
●出資金   3億8,362万3,000円
●支部・班数 34支部 98班
●事業所数  病院1 医科診療所1 介護関連39
※2015年5月31日現在