「たまりばから生まれる健康づくりの輪」宮崎医療生協 都北支部:comcom5月号

せせらぎ荘

「あたいどんで健康をつくっみろかい!!」。宮崎県都城市の閑静な住宅街で、ひときわ目を引く緑色の看板。家主の迫田啓一郎さんが個人的にかけたものだというから驚きです。美しい人工芝が敷き詰められた迫田さんの自宅の庭に、宮崎医療生協都北支部のたまりば「せせらぎ荘」はあります。

都北支部のみなさん「家内が医療福祉生協の活動をやっていたけれど、私は関心がなくてね。家内は10年前に亡くなったんですが、昨年の4月に『入らんね』と誘われて、『面白そうやな』と入ったんです」と迫田さん。都北支部の安岡カツ子支部長は「いい人に入ってもらった、男性が入ってくれた」と、すぐに運営委員になってほしいと依頼しました。快諾した迫田さんは、こう語ります。「医療福祉生協に入り、毎月1回安岡支部長の家でやる運営委員会に出席するようになって、いろいろ発言できるんですよ。あっこに行けば何でも話せて、楽しいですね」

安岡さんは、鹿児島医療生協で約30年間活動していました。ご主人が亡くなり、娘さんが住む故郷の都城市に戻ってきたのが約8年前のこと。たまたま市内で平和行進をしていた宮崎医療生協の人たちと出会い、都北支部で医療福祉生協の活動を再開することになりました。鹿児島医療生協で培われた「一人は万人のために、万人は一人のために」の精神が叩き込まれているといいます。

迫田啓一郎さんが自宅の庭を開放

 1・2/たまりば「せせらぎ荘」に集まった、都北支部のみなさん
 3・4/迫田啓一郎さんが自宅の庭を開放。人工芝を敷き、自主的に看板「あたいどんで健康をつくっみろかい!!」(私の家で健康をつくってみようか)をかけました
 5/みんなが持ち寄った手作りの食事に舌鼓

たまりばがほしい

迫田さん、安岡さん

都北支部は設立17年目。宮崎医療生協の病院や介護事業所がある宮崎市から遠く離れているため、先輩たちが築き上げた活動は「班」を大切にすることでした。「加入をおすすめしたときには、『どの班がいいけ?』と相談しながらすすめているんですよ。班会が活発なおかげで、組合員が増えていくんです。公民館のような公共施設で班会をやることはほとんどなく、家の中で班会をするのが都北支部なんです」と安岡さん。支部では現在、34班が活動しています。

班活動を重視している都北支部のみんなが気楽に集まれる「たまりばがほしい」と念願していたところに、迫田さんから「たまりばの看板出してもいいですか」という申し出がありました。迫田さんは、たまりばづくりを以前からあたためていたといいます。「夏の暑い日にね、向こうの角でおばちゃんたちが立ち話しよったんですよ。1時間ほど買物に行って帰ってくると、まぁだ話してる。1時間もですよ! あのおばちゃんたちのために『たまりば』をつくろうかなぁと思っていたんです」

近くに小川があったことから、「せせらぎ荘」と名付けられたたまりば。立派な看板をかけて、2014年6月に活動が始まりました。

健康の知識が増え、表彰も

減塩達成賞を受賞

 6/「美人班」は、2014年に宮崎医療生協のおこなう塩分チェックコンテストで、減塩達成賞を受賞しました

com_c_201505_06

 徳丸一美さんは、11年にコープみやざき都北店でやっていた「健康チェック」に参加したのが加入のきっかけでした。

徳丸さんは、「健康管理に関心があったけれど、わざわざ病院まで行くのは大変。医療福祉生協に入れば手軽に健康チェックができていいなと思ったんです。3人で班がつくれるというので「美人班」をつくり、隣の方や母が通っていた体操教室の方をお誘いして、だんだん人数が増えていったんです」といきさつを語ります。「班会で健康に関する知識が増えていくのはいいですよね。血圧チェックや塩分チェックは、結果が良ければうれしいし、悪ければ気をつけようと思うし。終わったらお茶飲みして楽しいです」

宮崎医療生協は塩分チェックコンテストを開催し、塩分6g以下を達成した班には「減塩達成賞」を授与しています。美人班は見事、14年度に受賞しました。お刺身にしょうゆは使わないでポン酢で食べる、ダシをよく取って塩分を控えるなど、それぞれ工夫し、情報交換しながら減塩のとりくみをすすめています。

「病院をつくることは難しいにしてもね、自分たちの事業所を持つことが念願です」と夢を語ってくれた藤崎テル子さん。たまりばができたことで、実現にほんの少し近づきました。

地域で広がる健康づくり

家庭で開く気軽に集まれる班会

事業所をつくるには、まだまだ地域の中で組合員の数が少ないと安岡支部長はいいます。しかし、健康づくりをきっかけにしたつながりは地域で広がっています。

オレンジカフェ

そのひとつが、「オレンジカフェ」。近所に住む方がお母さんの住まいを改装し、お茶や食事が楽しめるカフェとして、週に2回運営しています。カフェに集う人が楽しく過ごせるように、ホームシアターや歌、フルートの演奏など工夫されたプログラムを用意しています。ここで宮崎医療生協の健康チェックを実施させてもらったところ、新たに組合員が増え、班が誕生しました。健康づくりの活動が、地域に浸透しているあかしです。

事業所がない都北支部では、こうして組合員一人ひとりの手によって着実に活動が広がりを見せています。中でも、たまりば「せせらぎ荘」ができたことは、まさにそれが可視化された大きな出来事でした。迫田さんは、「今後は、学習支援や農業体験のような子どものたまりばができたらいいなと思うんですよ。ボランティアに関心がある大学生といっしょに、子どもの支援ができる活動をやってみたいな」と、たまりばで新たな活動が展開する夢を描いています。

 7・8/家庭で開く気軽に集まれる班会で、塩分チェックや血圧チェックなど、みんなで学び合う健康づくりが広がっています
 9/オレンジカフェ

(編集部)
写真:中村香代

<宮崎医療生協>
●設立年月日 1995年7月7日
●組合員数  4万9,034人
●出資金   5億5,456万169円
●支部・班数 17支部 369班
●事業所数  病院1 クリニック4 介護関連9

<都北支部>
●設立年月日 1998年10月9日
●組合員数  1,023人
●班数    34班
●支部運営員 14人

※2015年3月26日現在