広島豪雨土砂災害支援(広島医療生協):comcom12月号

~共助のネットワークを被災地域で活かす

ボランティア活動

「おはようございます。今はどんな状況ですか?」「下水が詰まっていてね、こうして毎日水を出しよるんだけど、汚いし、臭いし、病気になるような気がしてね」。広島医療生協の訪問チームが全国の支援者といっしょに被災した家庭を訪問して、現状の聞き取りをしていました。

今回で5回目のボランティア活動になる広島医療生協・職員の前田謙二さん。最初の2回は土砂の除去作業、3回目からは訪問活動に参加しました。「被災者の方からは、雨が降ると怖い、眠れないという声を多く聞きます。心のケアが必要じゃないかと思います」

被災地へいち早く訪問活動

被害甚大な地域へ地道な訪問活動を展開して支部活動を復活させました

2014年8月19日夜から20日にかけて広島市安佐南区・安佐北区を襲った集中豪雨によって、土砂崩れが相次いで発生。全壊、半壊、床上浸水、床下浸水の被害は約5000世帯()、亡くなられた方は74人という大災害になりました。広島医療生協は、被害が最も大きかった安佐南区に生協本部があります。広島共立病院や診療所、介護施設があり、地域には多くの組合員が住んでいました。亡くなられた方の約3割にあたる23人が広島医療生協の組合員でした。広島共立病院も、1階部分が60cm程度浸水し、医療機器などが冠水する大きな被害を受けました。

寺本さん、前田さん

広島医療生協・常務理事の寺本克史さんが訪問行動に参加するのは、今回で3回目。自宅は被害が大きかった地区にあります。車庫には土砂が入り、家の前にがれきが押し寄せましたが、幸い家の中は無事でした。最初に訪問活動に参加したのは被災直後の8月下旬。「家が建っている場所によってね、ほんのちょっとした差で被害の大きさが分かれたんです。被害にあった人や亡くなった人を思うとね、同じ気持ちになってやらなぁいけんなぁと思うんですよ」

被害が大きかった八木支部・梅林支部では、亡くなった支部役員もいました。災害当初、支部からは被災地域を回って機関紙を配る元気が出ないという声がありました。しかし、支部長さんが心配なお宅に声をかけ、だんだんと支部活動を復活させました。寺本さんは、「今すぐやることと、時間をかけてじっくりとりくんでいくこと。この2つを切り分けてやってくことが大切だと思うんですよ。それから、被災した方の要望を市に届けていかなければ」といいます。

広島県災害対策本部「8月19日(火)からの大雨による被害等について(第68報)」より。

全国からたくさんのボランティアが集まり、地域訪問活動にとりくみました

全国からボランティアが続々と

広島医療生協・常務理事の花田俊哉さん

広島医療生協・常務理事の花田俊哉さんは、「ありがたいことに、ボランティアが1日200人を超える日がありました」と振り返ります。「全国からの支援の受け入れと病院の移転が重なり大変でしたが、みんなでがんばりました」。全国のボランティアの受け入れにあたり、訪問先の調整や送迎、食事づくり、訪問活動の資材づくりなどたくさんの準備が必要でした。

「全国から来ていただいて、とても感謝しています。ボランティアの受け入れは9月末で終了しましたが、私たちは必要な方への訪問活動を継続し、医療的なフォローを含めてサポートを続けていきます。また、行政にも要望を伝えていこうと考えています」と花田さんは語ります。

ボランティアに訪問活動の手順を説明する有馬陽子さん

訪問活動に出かける方のために昼食の準備をする組合員のみなさん

移転で空いた旧病院を避難所として提供

9月1日、広島共立病院は市道を挟んだ隣接地に新病院をオープンしました。旧病院を丸ごと広島市に避難所として無償で提供することを申し出たところ、5日から市が管理する避難所として使われることになりました。病棟が丸ごと災害救助法に基づく避難所として使われるケースは、極めて珍しいことです。使用された施設(東館)は、増築を重ねた旧病院の中で比較的新しい建物です。冷暖房を完備し、室内は明るく、シャワー、洗濯機など病院の設備がそのまま使えます。何より、プライバシーが守られることがとても喜ばれています。

広島市の避難所として使われることになった広島共立病院(旧棟)

他団体や行政と連携・共助を

広島県には「広島県被災者生活サポートボラネット」という、災害時に「共助」(被災者生活サポートボランティア活動)をすすめるネットワークがあります。これは、広島県社会福祉協議会を中心に、市町社会福祉協議会、日本赤十字社広島県支部、広島県災害対策本部、ひろしまNPOセンターなどでつくられています。県内3つの医療福祉生協を含めた14の生協が加入する広島県生活協同組合連合会もこのネットワークに参加し、平常時から関係づくりをおこなってきました。(下図)

被災地支援のフローチャート

今回、広島県生協連では災害募金口座を開設しました。主には、広島市の義援金に拠出します。また、ボランティア支援金として広島市災害ボランティア本部(現・広島市復興連携本部)と、大きな被害を受けた広島共立病院へ組織支援金の拠出を決めました。

ボランティア活動の拠点、安佐南区復興連携センターがある、広島市安佐南区総合福祉センター

地域にはこのほか、広島市社会福祉協議会が設置した安佐南区災害ボランティアセンター(現・安佐南区復興連携センター)が、広島市安佐南区総合福祉センター内にあります。8月末には、1日に約2500人のボランティアがここに集まりました。

「今後は、土砂の除去作業が中心のボランティア支援から、次の段階に入ると考えています」と話す、広島市社会福祉協議会ボランティア情報センター・所長の坂本泉さん。「被災した地域には、もともと自主防災組織など地域組織があり、日ごろからつながりがありました。今回の災害でも、自主防災組織などの果たした役割は小さくありませんでした。これからは、被災した人たちが日常生活に戻るための支援、地域の支え合いやコミュニティの再構築への支援が必要になります。社会福祉協議会だけでなく、医療福祉生協をはじめとしたいろいろな団体と協力して、地域で支えていこうと話しています」

以前からの関係性を活かし、地域の中でさらなる連携を模索する新しい支え合いの活動が始まっています。

(編集部)
写真:中村香代

 

<広島医療生協>
●設立年月日 1966年10月30日
●組合員数   4万6,615人
●出資金    13億2,300万円
●支部・班数  31支部 337班
●事業所数   病院1 医科診療所4 歯科診療所2 訪問看護ステーション2
※2014年10月現在