被曝リスク低減にむけた福島4生協のとりくみ 郡山・浜通り医療生協:comcom3月号

~知ることで工夫が生まれる~(前編)

郡山医療生協(郡山市)・浜通り医療生協(いわき市)

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福島第一原発事故から3年が過ぎました。

福島県内4つの医療福祉生協(郡山医療生協、浜通り医療生協、福島医療生協、きらり健康生協)は「福島に住み続けたい」という組合員・住民の声を受けとめ、空間線量測定活動や汚染マップの作成、食品放射線測定器の導入と活用など、原発事故の被災地にある生協として活動をすすめてきました。本誌3・4月号で、4生協の地域住民の不安に応えるとりくみをお伝えします。

今月号では、被曝の有無を調べる機器FTF(ファースト・トラック・ファイバー)を使って、希望者に「今の体の状況」を伝えるとともに、今後の対応を考えていくとりくみをおこなっている郡山医療生協と浜通り医療生協を紹介します。

FTF
体内および体の外に付着している放射性物質が出す放射線量(ガンマ線)を測定する機器

組合員・地域住民の声を形に

病院に来たついでに測定でき、しっかり説明してもらえます

郡山医療生協では、簡易に放射線量のおおむねの値が測定できるFTFの導入を決め、桑野協立病院に設置しました。

FTFは放射性物質から放出されるガンマ線を検出し、数値化(cps:カウントパーセコンド)して表す放射線測定器です。10数秒で体内または衣服などに付着している放射性物質から出される放射線量を測ることができます。判定基準値は110cps。これより高い値が出た場合は、より精密な測定を勧めています。

2012年12月にFTFを導入して以来、1年間で1000人を超える方が測定をおこなっています。FTFは、桑野協立病院の入り口を入ってすぐの場所に設置されており、健康診断や受診の際にも測定できるよう配慮されています。

測定に来たある女性は、「被曝の有無を知っておきたいので、時々測りに来ます。ここに来ることが、日常生活での被曝に対する意識付けになっているんです。これからも定期的に測定したいと思います」と語っていました。

出た結果を元に、日常生活の改善を促します

桑野協立病院事務次長の鹿又達治さんはいいます。「たまに110cpsを超える高い値が出る方がいます。ですが、病衣に着替えて再度測定をおこなうと、ほとんどの方は放射線が検出されないか、値が大きく下がります。着替えることで値が減少するのは、内部被曝ではなく、衣類や靴、肌に放射性物質が付着しているからです。つまり、外から帰ったら手洗いやうがいをするなど生活習慣を工夫していくことで、被曝のリスクを抑えることができます。FTFの導入は、原発事故の被害者である私たち住民が、自分の体の状況を確かめ、被曝リスクを低減するとりくみの第一歩です」

住民全体の被曝リスクを少なくするために、一人ひとりが自分の被曝状況を確認し、被曝量を減らす工夫をしていく人を増やしていきたい。郡山医療生協の思いです。

FTF搭載車であなたの地域に出向きます

FTFを搭載したトラックがくらしの場に出向いて放射線量を測定。地域住民が抱える被曝の不安に応えます

浜通り医療生協は、13年5月に荷台にFTFを搭載したトラックを導入し、6月から稼動させました。

理事長の伊東達也さんはいいます。「私たちの生協は大病院を持っているわけでもなく、専門家がたくさんいるわけでもありません。厳密な放射線量を測ることは困難ですが、簡易なもので地域住民の不安に応えることならできます。被曝の有無を知りたいのに、計測できる場所まで行くことができない人が大勢います。そんな人々がくらしている場所まで私たちが出向くことで不安に応えることができればと、FTF搭載車を導入しました」

いわき市内にある仮設住宅へも出向いていくなど、これまでに700人の測定をおこないました(13年12月現在)。

浜通り医療生協・四倉支部長の田中繁行さんはいいます。「福島第一原発で事故が起きた当時、この辺り一帯が断水していたので、給水活動やお弁当配りをマスク一枚でおこなっていました。当然、内部被曝をしていると思っていました。検査をしてみたいと考えていたところにFTFが導入されたので、すぐ調べてもらいました。衣服には付いていたものの、体内からは放射線が検出されず安心しました。自分の体の状況を知ることができてよかった」

FTF搭載車でくらしの場に出向き被曝状況を測定する同生協のとりくみは、住民に安心を届けています。

FTFを搭載したトラックで地域に出向き、その場で結果を伝えます

いのちの章典の実践を

四倉支部のみなさん。支部の集まりで病院を訪問した際にFTFで検査をおこないます

「私たちは、知る権利、学習権をもとに自己決定を行います」。医療福祉生協のいのちの章典の自己決定に関する権利には、こう書かれています。

放射線による被曝の不安を抱えている人に、FTFでの放射線量測定を通じて体の被曝状況を知らせていく。自分の体の状況がわかれば、日常生活の中に被曝のリスクを減らす工夫が生まれる。郡山医療生協と浜通り医療生協のFTFを活用した被曝測定のとりくみは、自己決定に関する権利の実践に通じています。

次号では、福島医療生協のWBC(ホールボディカウンター)による放射線測定の活動と、きらり健康生協の食品放射線測定器のとりくみをお伝えします。

(編集部)
写真:大村洋介

<郡山医療生協>
●設立年月日 1972年5月26日
●組合員数 2万7,766人
●出資金 8億9,128万1,000円
●支部・班数 28支部 404班
●事業所数 病院1 介護関連12 保育園1 眼鏡店1
※2013年12月末日現在

<浜通り医療生協>
●設立年月日 1967年8月
●組合員数 1万5,850人
●出資金 5億8,889万円
●支部・班数 11支部 70班
●事業所数 病院2 介護関連8
※2013年11月末日現在