医療生協が見える・使える事業を生活圏域に 医療生協さいたま(川口市):comcom1月号

医療生協さいたま
「支部活動拠点モデル事業」

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より多くの人に医療福祉生協を利用してもらうにはどうすればよいだろう。つながりづくりや問題解決のきっかけとなるような、もっと地域に開かれた場所をつくり、利用してもらうことはできないだろうか。こんな思いで「モデル事業」にとりくんでいる医療福祉生協があります。医療生協さいたまです。

自主的活動にとどまらない継続的事業を

熊谷市の「よっといで」

2013年9月、生活圏域で組合員が利用できる場をつくることで医療福祉生協のとりくみを地域に知らせ、生協活動に参加してくれる仲間や担い手づくりを目的に、「支部活動拠点モデル事業」が医療生協さいたまでスタートしました。現在、この事業に登録している支部(4か所)には、月額5万円を上限に補助費が支給されます。

「支部活動拠点モデル事業」をおこなうには、3つの要件が必要とされます。

  1. 支部が主催、または医療生協以外の人たちと共催する企画が週5日以上おこなわれていること。
  2. 企画主催者を除く参加者が、目安として月に延べ60人以上確保できること。
  3. 年間の活動計画書及び予算・決算書を作成すること。

助成条件が厳しいのには理由があります。組合員を対象にした自主的活動にとどまらず、周辺の住民に日常的に医療福祉生協の活動が見える・使えるようにする継続性をもった事業にしていくためです。モデル事業の現場を訪ねました。

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「自分ごと」を伝える

春日部市の「この指とまれ」

春日部市の春日部東支部がおこなう「この指とまれ」は、“誰でも気軽に立ち寄れる場”として毎週月曜日から金曜日まで開放されています。01年から活動しており、今回のモデル事業に応募しました。以前は公共施設を借りておこなっていましたが、毎日場所を確保できないなどの限界があったといいます。そんな時、近所の医院(生協の事業所ではない)から場所提供の申し出があり、そこを使わせてもらうことに。古くからある医院で、医師の協力も得て「この指とまれ」への参加を呼びかけたこともあって、今では老若男女関係なく地域住民が集まる場所になっています。

支部長の吉田昌江さんは言います。「ある参加者から、用事で手が離せないので子どもを幼稚園まで迎えに行ってほしいと電話がかかってきました。突然でびっくりしましたが、信頼されているってことなのかなとも感じました。この指とまれだけのお付き合いじゃなくて、日常生活でも頼りにされているのかな」。

この指とまれという「場」での出会いがきっかけになり、普段のくらしの中でも関係ができる。医療生協さいたまがめざす「くらしに役立つ事業」のひとつの形です。

吹澤潔子さんは、利用する側から運営する側になりました。「娘が幼稚園に入る前にお世話になっていました。些細なことで子どもにイライラしていたのですが、ここに来ると『そんな細かいこと気にしなくていいのよ』と子育ての先輩たちに言っていただき、救われました。この経験を活かして、今度は私が役に立てればうれしいですね」。

子育ての先輩からのひと言で不安が和らいだという「自分ごと」を次の世代に伝えていく助け合いがはじまっています。

子育てに奮闘するママたちの情報交換の場。老若男女、誰もが気軽に集まれる開放的なサロン

この場所で年を重ねる

上尾市の「MYK」、北原久子さん

上尾(あげお)市の上尾西支部がおこなう「MYK(みんなで・わいわい・くつろごうの略)」はコミュニティカフェです。室内にはコーヒーの香りが漂います。ご近所の方や定年退職を迎えた方が出会える場所をめざしています。

支部長の北原久子さんは言います。「退職した後、この地域に戻ってくると、つながりをゼロからつくらなければならない状況があります。ここで年を重ねていく、私たちの役に立つ場所になればいいですね。今は提供する側かもしれませんが、将来誰かの助けが必要になった時に、この場所で築いた関係をもとに豊かなくらしをおくることができたらいいですね。今後は、例えば学校の先生をしていた方に近所の子どもの宿題をみてもらうという企画も考えていきたい。私は社会福祉士の資格を持っているので、高齢者などの相談活動もできればと思っています」。

65歳で定年退職を迎えても、それから15~20年は地域でのくらしが続きます。今までの学び、経験を自分が住む地域に役立てる。「MYK」は団塊世代の退職後を見据えています。

相談したり交流する場所を通して医療福祉生協を利用してほしい

「医療福祉生協のいのちの章典」には、医療福祉生協についてこう書かれています。「医療福祉生協は、地域のひとびとが、それぞれの健康と生活にかかわる問題を持ちよる消費生活協同組合法にもとづく自治的組織です。医療機関・介護事業所などを所有・運営し、ともに組合員として生協を担う住民と職員の協同によって、問題を解決するための事業と運動をおこないます」。

吹澤さんが経験した「子育ての不安」、北原さんが想像する「この地域で年を重ねる自分」。それぞれの「自分ごと」を持ち寄って交流し、時には不安を和らげたり自分を活かす場所。そんな場所が継続的な事業として地域に開かれていくことで、医療福祉生協の活動が見える・使えるようになる。これが「支部活動拠点モデル事業」です。

子育て世代も、定年退職後の団塊世代も、それぞれの悩みや不安を持ち寄り共に解決していく場所があります

(編集部)
写真:中村香代

〈医療生協さいたま〉
●設立年月日 1992年4月1日(合併)
●組合員数 24万5,163人
●出資金 62億3,232万8,000円
●支部・班数 153支部 3,056班
●事業所数 病院4 診療所8 歯科3 介護関連18
※2013年9月末日現在