「お互いさまの助けあい事業」でくらしを支える 出あい・ふれあい・支えあいの会「あいちゃん」(けいはん医療生協(大阪府)):comcom9月号

組合員のお互いさまの気持ちを形にした支援システム「あいちゃん」気兼ねなく助け合えるのが魅力です!

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単身の高齢者や支援を必要とする高齢者が増加する中、けいはん医療生協では気兼ねなく利用できる助け合いの仕組みが欲しいとの声が組合員から寄せられ、介護事業所からも介護保険の隙間を埋める助け合い事業への要望が出されていました。2012年5月、そんな組合員要求を実現し、地域にも貢献できる助け合い組織として、組合員のお互いさまを形にした出あい・ふれあい・支えあいの会「あいちゃん」(以下、あいちゃん)が発足しました。

あいちゃんの使い方

com_c_201309_02あいちゃんは、会員制の組織です。会員は、利用会員(支援を依頼する会員、年会費1000円・半年500円)、支援会員(支援活動を行う会員、年会費500円・半年250円)、賛助会員(活動はできないが趣旨に賛同する会員、年会費1000円)の3種類。全員が、けいはん医療生協の組合員です。会員は毎年更新され、13年4月現在、利用会員60人、支援会員45人、賛助会員60人です。

利用料金は、1時間あたり600円(最初の1時間のみ事務費200円が加わり、計800円)です。料金は利用会員から支援会員へ直接現金で支払われます。

あいちゃんを使う時の流れは、下図のとおり。(1)支援会員は事務局にあらかじめ自分の特技など、支援条件を登録しておきます。(2)利用会員は事務局もしくはコーディネーター(利用会員と支援会員の調整をする人。組合員が担っている)に支援を依頼します。(3)(4)(5)コーディネーターが利用会員宅を訪れ、ご本人の状況を確認し、要望などを聞いて支援内容を確定します。(6)利用者の希望に沿う支援会員に支援を依頼し、(7)支援活動が行われます。(8)1時間の支援だと、800円が利用会員から支援会員に渡され、(9)そのうち事務費200円を活動実施報告書とともに事務局に届けます。事務局は、医療生協のホームヘルパー事業所で責任者を務めていた職員です。事務局は利用申し込みの中で介護保険が利用できる内容の場合は、そちらを勧めるなどのアドバイスも行っています。

初年度の支援内容の主なものは、草取り・室内清掃・話し相手・通院や外出同行・新聞音読などで、163件の支援が行われました。

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遠くの親戚より近くのあいちゃん

com_c_201309_06ケアマネージャー・利用会員・支援会員・コーディネーターなどに、あいちゃんについて聞いてみました。

みいケアプランセンターでは、160件のケアプランのうち13件であいちゃんを利用しています。要支援者の通院つきそい、遺品整理、入院中の洗濯、確定申告のお手伝い、玄関のセメント塗りなど、内容は多彩です。

ケアマネージャーの久村洋人さんは言います。「本人のニーズが介護保険の枠内に納まらないことは多々あります。ヘルパーがいくら自費でやってもセメントなんて上手に塗れませんし、大工仕事なんてようしませんわ。組合員のできることを集めて、くらしを支えるあいちゃんは欠かせません」。

あいちゃんは生協以外のケアマネージャーにも利用されています。ケアマネージャーの吉野美紀さんは、さつきヘルパーステーション(けいはん医療生協)を通じてあいちゃんを知りました。

「担当している一人暮らしの女性から、病院に行くのが不安で付き添ってほしいとの要望がありました。介護保険で実現するのが難しかったので、あいちゃんを利用しました。あいちゃんとヘルパーステーションともに、けいはん医療生協なので連携もしやすく安心できます。あいちゃんを利用し始めたら、その方がすごく落ち着いたんですよ。心配事があると『今度いつ来るの? 誰が来てくれるの?』と1日に何度も電話がきましたが、あいちゃんが毎週受診に付き添うようになってから電話がピタッと止まったんです。あいちゃんがくらしに与える影響を実感しています。遠くの親戚より近くのあいちゃんです」

通院付き添いや部屋の掃除など介護保険ではできないことも気軽にお願いできる安心感

通院付き添いや部屋の掃除など介護保険ではできないことも気軽にお願いできる安心感

安心して寝込むことができる

支援会員の中山幸子さんは、12年10月から一人暮らしの女性(要介護1)のお宅に週1回、1時間の掃除に行っています。郵便物を出したり、買い物をする時もあるそうです。「楽しいですよ。私のことを頼りにしてくれている人がいるというのは嬉しいものです。仕事も難しいわけではないし、自分が使える時間の中で出来るのがいいですね」。

com_c_201309_08利用会員の日下部元子さん(72歳・要支援1)も一人暮らし。昨年から部屋の整理・掃除などであいちゃんを利用しています。「ご近所さんに頼んでもいいのですが、気をつかいますし、1時間やってもらって800円という訳にはいきませんやろ。その点、あいちゃんは良いです。ご近所さんほどには気をつかいませんし、料金も安くてハッキリしています。介護保険ではやったらアカンことが色々ありますが、あいちゃんには自分がしてもらいたいことをやってもらえます。それと、ここに電話すれば誰かに来てもらえるという安心感。これはホンマに大きいです。安心して寝込むことができます」。

地域とつながっている実感がある

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利用会員と支援会員をつなぐコーディネーター。依頼があると依頼者の自宅へ行き、状況を確認し支援会員につなげます。

「初回の訪問は、だいたい1時間くらい。子どもの頃のことから始まって、その方の人生をたっぷり聞きます。話したくて仕方がない、そんな感じが伝わってきます。支援会員の初回訪問にも同行するし、一定の期間で再訪問もします。報告を書いたりするので、結構忙しいんですよ。あいちゃんに関わるようになって、地域とつながっている実感がわきました。くらしの場所に入っていくことを通じて見えてきたことが沢山あります」。あいちゃんの会長で、コーディネーターも務める野路郁子さんの言葉です。

事業と助け合いの間で

スタートして1年あまり。課題も見えてきました。あいちゃんは有料で実施する助け合い事業です。事業である限り、ルールの中で運営していく必要があります。ルールを整えることで信頼され、生協の枠を超えて地域に貢献することができます。一方で、「あれもダメ、これもダメ」とルールで縛ることが助け合いの良い面を消すことにならないか。このバランスをどのように取っていくのか。助け合い活動でくらし全てを支えられるわけではありません。助け合い活動はくらしのどの部分を支えるのか。このあたりについても考える必要がありそうです。

くらしを支え、くらしに彩りを添えるお互いさまの助け合い。けいはん医療生協の挑戦は続きます。

com_c_201309_04〈けいはん医療生協〉
●設立年月日 1991年11月
●組合員数1万545人
●出資金3億9,255万5,000円
●支部・班数 14支部 125班
●事業所診療所3 介護関連23

※2013年6月1日現在