機関紙配付で見守り活動~2市・8町と見守り協定(鳥取医療生協):comcom7月号

「こんにちはー。生協のしんぶんでーす」
「はーい、毎月すいませんね。そういえば、先月号に○○さんが紹介されていたね。私も今度クイズに応募してみるわ」
全国の機関紙手配りで見かける風景です。

2市・8町と見守り協定締結

自治体と「地域見守り活動(中山間集落見守り活動)」協定(以下、協定)を締結し、見守り活動として機関紙を手配りしている医療福祉生協があります。鳥取医療生協です。鳥取県の高齢化は全国より10年早く進んでいるといわれています。2010年の65歳以上の人口割合は26・4%(75歳以上は14・6%)、2020年には32・7%(同17・3%)、2030年には35・5%(同22・4%)になると推計されています(「日本の地域別将来推計人口 平成25年3月推計」国立社会保障・人口問題研究所)。

このような中、鳥取県内で事業を行う事業者と行政機関が連携し、安心して生活できる地域づくりを推進することを目的に、08年から協定がスタートしました。13年4月現在、53事業者が自治体と協定を締結しています。

手配りに「ちょっとした気配り」をプラス

2010年、協定締結に向けて理事会での議論が始まりました。翌年の総代会で締結の方向を確認、1年間かけて各支部で丁寧に議論を積み重ねました。

「難しいことではありません。いつも行っている機関紙手配り活動に『ちょっとした気配り』を加えるだけです。定款地域の人口34万人のうち3万4000人が組合員で、12万8000世帯のうち1万3000世帯に機関紙が届けられています。つまり10人に1人が組合員で、10%の世帯に機関紙が配付されています。機関紙手配りを通じての見守り活動は、立派な地域貢献になります」。理事や組織活動担当職員がこう説明しながら支部をまわり、12年11月に52番目の事業者(医療・介護事業者としては初)として鳥取市・倉吉市など鳥取県東部・中部の2市8町と協定を締結しました。

認知症の高齢者保護や火災発見の事例も

実際の流れは図(22頁)のとおりです。手配りさんは機関紙配付中に郵便物・新聞紙がたまっているなど、いつもと違う状況を感じたら、緊急時は警察・消防へ、それ以外は鳥取医療生協組織部へ連絡します。手配りさんが異変を発見した事例はまだありませんが、他事業者では午前3時頃に徘徊している認知症の高齢者を保護したり、火災を発見したなどの事例が報告されています。

行政からの期待を感じる

「私たちの活動に行政が期待を寄せている」。自治体との協定締結は機関紙手配りに変化をもたらしました。ただポストに入れるのではなく、ひと声かけて配るためには、手配りさんを増やし、一人あたりの負担を減らすことが大切です。「新しい手配りさんをどうやってつくろうか?」「あの人に頼んでみようか?」こんな会話が支部の中で当たり前に出るようになりました。

鹿野温泉病院近くの酒津地域は162軒のうち101軒が組合員です。長年手配りをしている中村サナエさんは言います。「以前は4人で配っていました。昨年『手配りさんを増やそう』と声をかけて新しく2人増えました。私の担当部数も36部から14部に減りました。半分以下になったのでお話をしながら配る時間が増えましたよ」。

「ひとりで40部、50部配付していた時期もありました。みんなで分け合って一人10部くらいになるように協力者を増やしてきました。いつも自分たちがやっていることが、地域の役に立つのは嬉しいことです。協定を通じて、改めて機関紙手配りの社会的な意味をみんなで確認することができました」。こう語るのは理事の常村順一さんです。

手配りの「質」を高めたい

理事の常村順一さん

理事の常村順一さん

宮部由子さんは4年前から機関紙手配りをしています。「よく顔を合わせるんで、顔を見ないとやっぱり気になりますよ。このあいだ、しんぶんを届けているある組合員から『自宅で転んで外に出られない。会いにきてほしい』と電話がかかってきました。用事があって行くことができないでいると、向こうから会いにきました。『あなた、足は大丈夫なの?』って、お互い大笑い」。

市街地にある鳥取生協病院近辺は少し様子が違います。「医療生協しんぶんを何十年も配ってきました。駅が近いのでマンションも増えました。マンションはオートロックなので配るのが大変ですね。昔、商売されていた方が多い地域など、場所によっては250軒のうち100軒は一人暮らし高齢者のところもあります。手配りは単なるしんぶん配りではなく、しんぶんをきっかけとした見守り活動です。これからは手配りの『質』を高めていかなければ」と西川肇さんは言います。

生協は顔の見える安心ネットワーク

組合員の西川肇さん

組合員の西川肇さん

鳥取医療生協では1100人の手配りさんが活躍しています。手配りさんが2000人、3000人と増えていくことで、より小さな単位で顔の見える関係が増えていきます。

一人ぼっちがいのちの危機につながる現在、機関紙手配りを通じて顔の見える安心ネットワークを広げていくことは大切なことです。鳥取医療生協は医療・介護職員、専門家が提供する安心と、地域で暮らす組合員がつくりあげる安心ネットワークの2本立てで「いつまでも住み続けられるまちづくり」に貢献しています。

●設立年月日 1951年7月11日(同年8月22日認可)
●組合員数 4万57人
●出資金 12億5,000万円
●支部・班数 28支部 299班
●事業所 病院2 診療所3 介護関連2