地域における支え合い事業(愛知県):comcom6月号

買い物のあとに、ちょっといっぷく!
ここは、おしゃべりを楽しみながら
困りごとも相談できる地域のたまり場

いっぷく茶屋の様子

いっぷく茶屋の様子

いっぷく茶屋があるコープ小幡店

いっぷく茶屋があるコープ小幡店

人のつながりが弱まり、単身・高齢世帯の増加が進行しつつある今、制度やしくみだけでは解決できない困りごとが、地域にはたくさんあります。そんな困りごとを協同の力で解決したいと、様々な団体や町内会などの地縁組織、行政や協同組合が連携して困っている人を支えるとりくみが各地で生まれています。
生活協同組合コープあいち(以下、コープあいち)では、2012年度こうした活動をさらに進化させ、その経験を各地域にひろげようと愛知県との協働事業「地域における支え合い事業」をすすめました。
今回は地元の北医療生協も参加するそのとりくみを、名古屋市守山区にある「いっぷく茶屋」を中心にレポートします。

コープのお店の気軽に立ち寄れる相談所

守山南支部の瀬戸加枝さんと、いっぷく茶屋に立ち寄った親子

守山南支部の瀬戸加枝さんと、いっぷく茶屋に立ち寄った親子

毎週木曜日午前10時。コープ小幡店の野菜売り場のそばでいっぷく茶屋がはじまります。ここは、「お買い物帰りに立ち寄って、ちょっといっぷくしませんか」というスペース。お茶とお菓子でおしゃべりしながら、困りごとの相談にのったり、互いにアドバイスしたり…。その場に介護関係の職員もいるので、専門的な相談もできます。
「最近いかがですか? 買い物がすんだら寄ってってね」と声をかけるのは、北医療生協・守山南支部の瀬戸加枝さん。「私自身もおしゃべりできるいい場所になっています。必要な方には、生協もりやま診療所など北医療生協のこともお知らせできますし…」

年に3回食事会を実施。音楽演奏やゲームなどのお楽しみ企画と食事を楽しみます。季節の野菜たっぷりのランチは、すべて手づくり

いっぷく茶屋「食事会」のスタッフ

いっぷく茶屋「食事会」のスタッフ

ここには、地域の中で「気になる人」の情報も集まってきます。「〇〇さん、昼間でもパジャマで出てきて元気ない感じ…ちょっと心配なの」という声を、いきいき支援センター(地域包括支援センター)の寺本由美子さんが、「どこにお住まいの方ですか? 今度ちょっと声をかけてみますね」とキャッチします。
「地域での日常的なつながりが薄れ、個人情報保護の関係からも困っている人の情報がなかなか入ってこなくなりました。ここにはみんなが情報を持ち寄ってくれ、民生委員さんといっしょに訪問もできます。大切にしたいネットワークです」と、寺本さんは語ります。

専門家に気になることを相談。いきいき支援センターの寺本由美子さん(左から2人目)も同席

専門家に気になることを相談。いきいき支援センターの寺本由美子さん(左から2人目)も同席

小幡店舗委員会の原野貴美代さん(左)と見守りそくしん隊の仙田田鶴子さん

思いのある人がつながってパワーを生む

いっぷく茶屋の大きな特長は、地域のいくつかのグループや団体が協同で運営していることです。 地域の民生委員、 コープあいち福祉サービス(ケアマネージャー)とお店委員会の組合員、北医療生協・守山南支部組合員、いきいき支援センター職員と様々な人が運営にかかわっています。
いっぷく茶屋立ち上げメンバーで地域の民生委員もしていた西原八千代さんは、「地域のみなさんの『外に出たい』『おしゃべりしたい』という思いをかなえる場、気軽に利用できる『たまり場』をつくりたかったんです。その大きな壁となったのが、場所の問題でした。お店の一角を使わせてもらえると聞いて、うれしかったですね。誰でも入ってこられて、時間にもしばられないから」と語ります。その言葉どおり、毎週木曜日を楽しみにしている常連さんや、子どもを連れたお母さんもふらっと訪れます。

きずなの広がりをさらにパワーアップ

「いっぷく茶屋がはじまってから、地域の人どうしのかかわりが広がってきています」と話すのは、代表を務める秋好有美子さん。毎週の積み重ねによって、専門家も含めたつながりが深まってきたといいます。
この小幡地域の「人と人のつながりやパワーをもっと地域で活かせないか」。それは、コープあいちが「地域における支え合い事業」の中でめざしたことのひとつです。いっぷく茶屋にかかわるみなさんも、守山区・小幡地域会議として「地域における支え合い事業」に参加。今まで作ってきたものを、さらに活かすためにどうするか。地域に担い手を広げていくために何ができるかを話し合ってきました。

福祉みまもり会員マップ

福祉みまもり会員マップ

その中で、活動を充実させたのが「見守りそくしん隊・守山」です。地域で見守りができる人、ちょっとした困りごとがあった時に手助けできる人を会員として募集し、会員の住む場所を地図にした「福祉みまもり会員マップ」をつくりました。このマップを配布し、「困りごとがあった時に連絡してください。ご近所の会員が手助けします」と呼びかけています。
こうしたことが可能になったのも、「地域の中で困っている人を真ん中にして、それぞれの立場で意見を出し合い、力を発揮する関係ができたからだと思います」と、見守りそくしん隊の仙田田鶴子さんは語ります。名古屋市守山区社会福祉協議会の大津裕昭さんも、「今後もこういった地域での話し合いを続けたい」といいます。

地域にあった支え合いの形をさぐる

食事会を楽しむ参加者

食事会を楽しむ参加者

コープあいちでは、この守山区・小幡地域以外にも4か所で「地域における支え合い事業・地域会議」にとりくみました。参加する団体がそれまでとりくんできた活動をふまえ、地域の実情を話し合い、今後の活動を模索してきました。例えば、コープあいちでのくらし相談活動の実績をベースに、地域の相談窓口をマップにしたり、中山間地の高齢化や買い物が困難な状況にJAや他の団体とどうとりくむかを検討したりと、多岐にわたる支え合いのヒントが生まれました。
「この人をどう支えるか」「この地域をどうするか」という思いで人が集まることで、新たなパワーが生まれます。その協同の活動を広く知らせることで、もっと担い手を増やすことができるのでは。次のステップに大きな期待がふくらむ協同の活動です。

「地域における支え合い事業」とは

つながりマップ

つながりマップ

生活協同組合コープあいちは、愛知県全域に40万人の組合員を有する購買生協です。地域のつながりが弱まり、高齢化による事業の変化などにも対応する中で、2007年にコープ相談センターを設立。組合員の困りごとをいっしょに解決できる「相談のつなぎ先」と連携する中で、「安心して暮らせるネットワークのつどい」を開催。組合員の助け合いグループやワーカーズコープ、医療福祉生協、NPO、コープあいちの事業など様々な団体が集まって、それぞれの得意分野で連携し、どう地域をつくっていくかを話し合ってきました。
12年には、愛知県から受託した「地域における支え合い事業」をすすめました。モデル地域を5つ設定し、それぞれの地域の課題に応じて、様々な団体や地縁・行政組織、協同組合がいっしょに支え合える地域をつくるために話し合い、実践しています。