高齢者のくらしを支える助け合い活動 群馬中央医療生協 広瀬山王支部:comcom4月号

みんなで買い物に出かけることで週に1回、元気な顔を確認! 買い物弱者をサポートしながら地域のひとりぼっちをなくします。

毎週火曜日におこなわれる「買い物班会」

群馬県前橋市にある群馬中央医療生協から車で東へ10分ほど行った所にある広瀬団地。県内で最も大きい団地です。1970(昭和45)年頃から建設・入居が始まりました。4階建てでエレベーターなしの棟から12階建ての高層棟まで、およそ5000世帯がくらしています。建設当初から40年以上が経過した団地には、空き家も目立ってきました。全国の他の団地同様に広瀬団地も高齢化がすすみ、ひとり暮らしや夫婦二人暮らしの高齢者が多く生活しています。過去には孤独死も発生しました。

今回は、こうした広瀬団地と隣の山王町を中心に活動する群馬中央医療生協・広瀬山王支部の助け合い活動「おしゃべり広場」と「買い物班会」を紹介します。

おしゃべり広場「ここに来ると、ホッとする」

昭和50年代から平成のはじめにかけて、広瀬団地の中にコープの店舗(前橋市民生協:当時)があり、団地に住む人々を中心に生協活動とコープ商品の利用が広がっていました。現在、この店舗はありませんが、コープぐんまの協同購入仕分けをおこなう「コープ広瀬ステーション」があります。

 

おしゃべり広場は、このステーションで毎月おこなわれています。ステーションは、広い団地の真ん中にあるので、参加者は自宅から歩いてくることができ、毎回15~20人の方が参加しています。誰もが気楽に参加でき、おしゃべりの中でいろいろな情報交換ができるとあって、回を重ねるたびに参加者が増えています。最近参加するようになった人から、「ここに来ると、ホッとする」「いろんな人とおしゃべりができ、元気になる」という声が寄せられています。

 

“つながること”が生きる力に

支部長の宮崎ます江さん

おしゃべり広場の運営を担当するのは支部運営委員。手づくり料理や部屋の飾り付けなどで季節を楽しむことを大切にしています。お花見や七夕、クリスマスなど季節ごとの行事も、みんなで集まってワイワイガヤガヤ。「集まって他愛ないおしゃべりを楽しむ、これがとても大切だと実感しています。人とつながることが、これほど生きる力になるのかと驚くこともあります」。こう話す岡部由美子さん(組合員活動課)。コープぐんまで組合員活動を経験したのち、群馬中央医療生協で働くようになりました。

一人の百歩より、百人の一歩

副支部長の金谷陽子さん

岡部さんはいいます。「ここに来られる方は、すでにつながりができている人たちです。課題は、ここに来られない人たちをどう支えていくのか、です。もちろん、全ての人を生協で支えることなんてできません。私たち生協ができることは、人々がつながる場所や機会を提供すること。しかし、それもすぐには結果が出ません。とにかく地道に継続していくことが大切です。
現在は月1回ですが、月2回、週1回と徐々に回数を増やしていきたいです。そのためには、支える人を増やしていくこと。医療福祉生協でよくいわれる、一人一役を実践していきたいです。できることを少しずつ、一人の百歩よりも、百人の一歩をめざす。これが生協です」

 

「自分で選びたい」から始まった買い物班会

担当理事の村岡邦三さん

「それじゃぁ、1時間たったらこのあたりに集合しましょう」。7人がそれぞれのカートを押しながら、スーパーの中に入っていきます。今日は毎週火曜日におこなわれる「買い物班会」です。

この班会が始まったきっかけは、4年前までさかのぼります。介護保険を利用しながら広瀬団地でくらしている組合員から、「食事をつくってくれるヘルパーさんには大変感謝しています。でも、たまにはお店に行って、自分で好きな買い物をしたい」という声が寄せられました。ちょうど、リウマチで軽自動車を移動手段として利用している組合員が団地内におり、「私も何か人の役に立つことをしたいと思っていたの。月1回くらい、気晴らしも兼ねていっしょに買い物へ行きましょう」。買い物班会は、こうしてスタートしました。

歩いて行けるスーパーがなくなった

組合員活動課の岡部由美子さん

「自分で選びたい」を実現するために、毎月1回おこなわれるようになった買い物班会。それが毎週実施されるようになったのは、昨年の夏から。広瀬団地近くにあったスーパーが閉店することになったのです。「すぐに新しいスーパーがオープンするだろうと思っていたのですが、一向にその様子がない。毎週買い物班会をやらなければ生活がなりたたなくなってしまったんです」と広瀬山王支部・副支部長の金谷陽子さんがいいます。

買い物班会の参加者には、1回ごとに日帰り旅行の共済に加入してもらいます。1回あたりの掛け金は20円。事前に共済へ申し込む必要があるため、1か月前に参加希望をとっています。また、交通費として300円を負担してもらいます。金額が高いとの意見もありますが、当日キャンセルもあるし、車のレンタル料金・運転手への謝礼などを支払うと黒字にはなりません。

事業所と組合員が連携

「普段1人でくらしている人が多いので、誰かと同じ場所で同じ時間を過ごすことが大切だと思います。今日買い物に行った人の中に、10年前まで支部運営委員として活躍されていた方もいらっしゃいます。現在運営委員をやっている自分たちの10年後を見せていただいている、そんな気がします」と語るのは支部長の宮崎ます江さん。

参加者の中には認知症の方もいます。その方は、群馬中央医療生協のヘルパー事業所と組合員が連携をとってサポート。「先週、冷蔵庫の中に甘いものしか入っていなかったので、バランスよく食材を選ぶように見守ってください」とヘルパーが組合員に依頼することもあります。事業所と組合員活動がしっかりつながっています。

見守り活動としても

「買い物班会は毎週おこなわれるので、1週間に1回は顔を合わせる。これが見守り活動にもなっています。朝迎えに行って、呼び鈴を鳴らしても出てこられないことがあります。テレビの音が大きくて、呼び鈴や電話の音が聞こえないんです。こんな理由ならまだ安心ですが、時々、テレビの音も聞こえない、呼び鈴や電話にも出ない、ドアに耳を押し当てると中はシーンとしている時があります。そんな時は、近隣に住む家族に連絡します。家族から『今日は朝から前橋協立病院へ健診に行きました』と聞いて、ひと安心したこともあります」と金谷さん。

班会参加者の田野辺よう子さんは、いつもカゴいっぱいの買い物をします。「歩いて行ける場所にスーパーがないので、買い物班会で1週間分の買い物をすませます。この買い物がなかったら生きていけないといっても良いくらい。毎週みんなと会えるので、とても待ち遠しい」

高齢化がすすむマンモス団地で、生協という仕組みを使って助け合い、くらしを支え合う広瀬山王支部の活動のいっそうの広がりが期待されています。

広瀬団地

〈群馬中央医療生協〉
●設立年月日 1951年3月15日
●組合員数3万7,397人
●出資金9億4,752万6,200円
●支部・班数 37支部 304班
●事業所病院1 医科3歯科診療所1 介護24

〈広瀬山王支部〉
●設立年月日 1995年2月26日
●組合員数1881人
●班数8班
●運営委員数 8人

※2012年12月末日現在