ふれあいと支え合いを地域につくる 高知医療生協 朝倉みなみ支部・朝倉きた支部:comcom3月号

朝倉支部を支部分割

土佐の高知のはりまや橋で…と、歌に知られた高知市の市街地から西方へおよそ7km。小高い丘陵地帯の裾野に住宅地が広がっています。1942年、高知市に吸収合併されるまでは、朝倉村と呼ばれた田園地帯。戦後、宅地化が急速にすすみました。この地域で活動してきたのが朝倉支部です。住民の増加とともに組合員も増え、支部も大きくなりました。そこで、支部分割に着手。2004年の3月、朝倉みなみ支部と朝倉きた支部に分かれ、それぞれに設立総会をおこないました。そして今、ともに手を携えてがんばっています。

地域の変化

みなさんに共通した願い。それは「いつまでもしっかり歩きたい」

朝倉みなみ支部の支部長、尾原明広さんがいいます。
「支部分割する頃までは、村の時代に構築されたコミュニティが機能していましたからね。新しい住民はなかなか受け入れてもらえなかったんです。しかし、この10年で、様相がすっかり変わりました。そうした人たちが高齢になり、かつてのコミュニティを機能させることが困難になってきた。ですから、新・旧住民といったこだわりを捨てて助け合うしかない。そんな流れになってきたと思いますね」

おなじく朝倉みなみ支部の副支部長、田中和子さんが続けます。
「ふれあいと支え合いのある地域コミュニティをみんなで構築していかなければ、くらし続けることができない。それが現実の問題になったということです」

いきいき百歳体操

「重りをつけた筋トレが「いきいき百歳体操」の特徴です」

いきいき百歳体操は、02年、地域でくらす高齢者に向けて、高知市が開発した筋トレ体操です。現在、高知市内では293か所の会場で実施されています。高知医療生協も、この体操を地域に広げるために一役買っています。その理由は、高齢者の筋力強化や健康づくりに役立つからというだけではなく、地域の「ふれあい」や「支え合い」をつくり出すきっかけになるからです。

朝倉きた支部の支部長、渡部美智子さんがいいます。
「医療福祉生協と地域の結びつきを深める、広げる。そのためにも大切な場になっているということですよね。私たちが始めた頃、組合員の参加はほんのわずかでした。9割は地域でくらす高齢者の方々…。その人たちが医療福祉生協の話に耳を傾けてくださり、今ではほとんどの方が組合員になってくださいました。この体操は行政主導の企画ですが、その中へ『健康づくりと支え合い、新しい地域コミュニティづくり』という医療福祉生協の視点を入れることで、頼りにされるようになってきた、ということだと思います」

痛恨の思いと「支えあいマップ」

支えあいマップづくり。みなさんの情報をもとに“生きた地図”をつくります

理事の河添光子さんには、痛恨の思いがあります。河添さんがかかわっていた朝倉きた支部の班から孤独死を出してしまったのです。その方は、高齢で体調がすぐれませんでした。河添さんをはじめ、支部や班の仲間は、頻繁に訪ね、お世話をしていました。しかし、その間隙を縫うようにして心筋梗塞を起こし、他界してしまったのです。状況からみれば、致し方のないこと。しかし、無念の思いを消すことはできませんでした。その体験が、一日も早く「ふれあい、支え合い、見守り合い」のある地域づくりを急がなければという衝動にかられました。ちょうどその頃、高知市西部高齢者支援センターから声がかかったこともあり、「支えあいマップづくり」に着手したのです。地域にはどんな高齢者が住んでいるのか。どんなくらしをしているのか。もし、支援が必要な場合、誰が駆けつけるのか。そういったことを具体的に書きこんでいく「支えあいマップ」。つまりは、地域の人と人をつなぐ作業。痛恨の思いは、地域が求めている新しいコミュニティづくりにつながったのです。

地域の人々と

この矢印で、人と人をつなぎます

河添さんがいいます。
「いきいき百歳体操、支えあいマップづくり。どちらも地域の組合員だけということではなく、地域にくらす人々を対象にしています。ですから、医療福祉生協だけで背負うのではなく、地元の地域支援センター、いきいき百歳体操をすすめている保健所、町内会、民生委員のみなさん、地域の世話役さんといった多彩な人たちとともにとりくむことが大事だと思っています。支えあいマップづくりには民生委員さんや町会長さんなどにも参加していただいて、いっしょにつくっています。その方が、内容が豊かになりますからね」

尾原さんがいいます。
「朝倉では、きた支部でもみなみ支部でも町内会や民生委員さんたちといっしょに活動する場面が増えている。『地域のみんなといっしょに』。ここを大事にして、いろいろな要請に応えていけたらと思っています」

ふれあい昼食会

「この楽しさが元気のもとなのよ」ふれあい昼食会

田中さんがいいます。
「『くつろぎのコーヒーサロン』『健康づくりのための学習会』『ウエルカム・パーティ』。支部を単位にした楽しい企画、ためになる企画もあれこれやっています。でも、『ふれあい昼食会』だけは班を単位にしてやっています。なんていうのかな、アットホームな感じを大事にしたいんですね」

「ふれあい昼食会」に参加させていただきました。班のメンバーは、80歳をこえた方々がほとんど。そのみなさんが口々にいいます。
「顔見知りに会える。これが一番。おしゃべりができるし、思いきり笑うこともできる。だから、班会が何よりの楽しみ。これがなかったら家を出る元気もなくなってしまいます」

食事のあと、田中さんがポツリといいました。
「『いきいき百歳体操』のような地域の方々が参加できるとりくみも大事だけれど、こういったきめの細かいとりくみも大事なんです。班単位の活動はこれからますます重要になってくると思います」

2つの支部の「これから」

「病気は早期発見が一番 やっぱり班会やらなきゃ」おしっこチェック

地域のみんなといっしょに活動するダイナミックなとりくみと、班を単位としたきめ細かなとりくみをすすめている2つの支部の運営委員さんたちがいいます。
「私たち運営委員の平均年齢は、両支部とも70歳を超えています。これから何をやるのかということも大事ですけれど、早く後継者を見つけてきちんとバトンを手渡すことも大事な責任の1つだと思っています。自分たちはもう少しがんばれると思います。でも、のんびり構えている時間はありませんからね」

朝倉という地域に深く根をおろし始めた2つの支部。バトンを受け取ってくれる担い手の出現におおいなる期待を寄せたいと思います。

〈高知医療生協〉
●設立年月日 1966年8月12日
●組合員数 5万4,115人
●出資金 9億9,010万6,000円
●支部・班数 39支部 548班
●事業所 病院1 医科診療所4 介護関連11

〈朝倉みなみ支部〉
●設立年月日 2004年3月(分割)
●組合員数 1,714人
●班数 12班
●運営委員数 16人

〈朝倉きた支部〉
●設立年月日 2004年3月(分割)
●組合員数 1,558人
●班数 15班
●運営委員数 11人

※2012年11月30日現在