支部をつくる 地域のコミュニティをつくる 新潟医療生協 石山総支部:comcom3月号

石山地区と地域コミュニティ

充実してきた石山総支部の運営委員会

充実してきた石山総支部の運営委員会

新潟駅から2kmほど南下すると、豊かな水をたたえた鳥屋野潟。その東側に新潟バイパスと日本海東北自動車道に挟まれるような格好で、東西に広がった地域があります。それが石山地区です。駅南とも呼ばれているこの一帯、かつては「ゆうに腰まではつかる」といわれた湿田地帯でした。近年、排水設備の充実とともに土地改良がすすみ、どこにでも見られる田園風景に変わりました。その田園風景が、1960年代の高度経済成長期、徐々に住宅地へと変貌、今日の石山地区を形成したのです。

石山地区の地域コミュニティ。それは旧来から居住し、農業を営んできた人たちと、高度経済成長期に移り住んできた人たちによって構成されています。新旧の住民が織りなす多様なコミュニティが存在する地域で石山総支部のみなさんは活動しているのです。

石山総支部

石山総支部のみなさん

「足もとに気をつけてくださいね」地域に愛される診療所づくりをすすめる石山総支部のみなさん

広い地域、新旧住民が織りなす複雑な地域コミュニティ。そうした中で多様な住民要求に応えるためには、どんな組織形態がいいのか。その答えは、支部機能をもつ拠点をきめ細かくつくり、ネットワークを広げていくというものでした。現在、拠点数は20か所。1拠点におよそ200人の組合員が集うという計算です。つまり、支部機能をもつ20の拠点を基礎にして、大きな支部を構成するというイメージです。ここに「総支部」という呼称が生まれたのです。

拠点支部の再建

新興住宅地とはいえ、すでに50年余りの歳月が流れ、石山地区も大きく変化しています。大型店の進出などで「まちの活気」が演出されてはいますが、住民のくらしに一歩踏み込むと、そこには次世代層の流出、高齢世帯の増加といった現実が横たわっています。かつて構築した活動拠点も、その責任者が高齢になったり、後継者がいなかったりして、いつのまにか足腰が弱くなってしまいました。結果的には総支部が石山地区の支部機能を肩代わりせざるを得ない状況になったのです。とはいえ、4761人の組合員がくらす広大な石山地区全体を網羅するのは容易なことではありません。そんなわけで石山総支部体制の立て直しをどうするか。それが大きな課題になっているのです。

「総支部」は動く

ウェルカムパーティー

「昔、むかしのこと…」石山総支部が大事にしているウェルカムパーティー。新しい組合員を民話語りで歓迎します(提供:新潟医療生協)

活動拠点の再活性化をすすめるためには、石山総支部がリーダーシップを取り、サポートする以外に道はありません。その具体的な行動としてスタートさせたのが、毎月おこなう仲間ふやしです。広い地域を細かく区分けして、職員とコンビを組み、地域を回るのです。この5年間、毎月1回続けてきた地域訪問と仲間ふやし。すでに3巡目に入りました。今でも毎月平均28人前後の仲間をふやし続けています。運営委員さんたちがいいます。
「活動拠点の再活性化。これは、結局のところ仲間づくり、出会いづくりから始める以外、ほかに妙案はありませんからね」

年間の行事も、当面は石山総支部が率先実行することにしました。地域組合員に働きかけて「日帰り人間ドック」や「特定健診」を組織する。時機にかなった学習会を開催する。地域に操体法(呼吸法を基本に据えた運動と食事療法を組み合わせた健康法)や歩く会などの健康づくりを広げる。合唱など趣味でつながる活動・交流の場を増やす。総支部長の米沢幸世さんがいいます。
「石山総支部は確かに元気になってきました。でもね、私たちががんばりすぎると、総支部に任せておけばいいといった雰囲気になる。それではいけないと思うんです。やはり、地域でできることは何か、総支部でできることは何か、というふうに考えていかないとね。今、私たちにとって大事なこと。それはどんな医療福祉生協づくり、地域づくりをしたいのか、その具体的なイメージをもって事に当たることではないでしょうか」

上映運動が成功

研修旅行

深澤晟雄資料館を訪ね、思いを新たにした研修旅行(提供:新潟医療生協)

2010年のことです。石山総支部は、「住民の命を守る村」として知られた岩手県和賀郡沢内村(現西和賀町)の軌跡を映画化した「いのちの山河」の上映運動にとりくみました。5月30日。石山地区内2か所で同時上映。600人近い観客(地区の住民・組合員)を集めることができました。石山総支部が初めてとりくんだ独自企画。大成功です。豪雪・多病多死・貧困に正面から挑み、「生命行政」を打ち立てた深澤晟雄村長と村民の物語は、観た人々の心を熱くしました。同時に「住民の命を守る」ために医療福祉生協は何をやるべきか、ということもたくさん話し合うことができました。

咲けよ、コスモス

サンセットコスモス

病院の玄関先に咲いたサンセットコスモス(提供:新潟医療生協)

その秋、「沢内村研修旅行」を実施。生命村長と慕われた深澤晟雄氏の人柄をしのぶ「深澤晟雄資料館」を訪ねた時、参加者の目に飛び込んできたのがサンセットコスモスの鮮やかな花。それは、資料館前にある深澤晟雄村長の胸像を取り囲むように咲き乱れていました。見とれていると、村の人がいいました。
「よかったらこの花の種をあげますから、新潟の方でも咲かせてみてください」

深澤晟雄村長に寄り添い、命の大切さを語りかけるサンセットコスモスの花は、翌年の晩夏、新しい木戸病院の正面玄関わきで花開きました。それは沢内村に咲いていたのと同じ暖かなオレンジ色の花でした。石山総支部のみなさんがいいます。
「木戸病院に沢内村のコスモス。私たちの思いはわかるでしょ?」

挑戦は続く

ここ数年の間にみごと再起動した石山総支部。運営委員会の結束も強まり、討論も活発になってきました。いよいよ石山地区の全組合員にまんべんなく「医療福祉生協の風」を届けるという難事業に挑戦する時が来ました。総支部長の米沢幸世さんがいいます。
「次にやることは石山総支部体制の本格的なテコ入れと、後継者づくりです。私たちがやれる間はやるけれどあとは知らない…、というわけにはいきません。だって、人間を大切にし、命と健康を守り合おうという医療福祉生協は未来に手渡さなければならない社会的な財産ですからね。最初にふれた地域の活動拠点、この支部機能を1日も早く再建・活性化させたいと思います。それができて、はじめて総支部らしい姿かたちといえるわけですから。これは、高齢化がすすむ石山地区のなかでどのように地域コミュニティを再編したらいいのかという問題にもつながっていきます。とても意義のある仕事。もうひとがんばりしなきゃね」

石山総支部の挑戦はこれからも続きます。

木戸病院

2011年7月にオープンした木戸病院

〈新潟医療生協〉
●設立年月日 1975年2月20日
●組合員数 3万8,207人
●出資金 17億3,815万円
●支部・班数 16総支部 652班
●事業所 病院1 医科診療所2 介護関連4 健診センター1

石山診療所

石山総支部の拠点 石山診療所

〈石山総支部〉
●設立年月日 1975年2月20日
●組合員数 4,761人
●班数 11班
●支部役員数 担当理事4人 支部運営委員10人

※2011年11月30日現在