人をつな いで力をつくる 酒田健康生協(山形県)泉支部:comcom1月号

人をつな いで力をつくる 酒田健康生協(山形県)泉支部

酒田健康生協

「節目となる創立30周年。2009年という年を私たちはどのような姿で迎えるのか…」
01年、拠点となる診療所を酒田市泉町に新築移転した酒田健康生協は、一息つく間もなく、活発な討議を始めました。その過程で、組合員が変われば職員が変わる。職員が変われば組合員が変わる。お互いの力を合わせれば夢がかたちになる、という確信を深めていきました。そして、今日に至る時間のなかで、まさに翼を広げるかのように、「メディカルフィットネス」、保育園、介護関連事業、組合員ルーム、高齢の組合員のくらしを支援するアパートなどの機能を統合させた施設づくりを成功させ、同時に、積年の思いであった「1万人組合員」も達成したのです。組合員と職員、そして、地域の思いを「かたち」にした酒田健康生協。その施設は、JR酒田駅からほんのわずか離れたところ。市街地を南北に走り抜ける奥羽本線沿いにあり、周囲の関心を集めています。

秋の行楽

「極楽、極楽♪」足湯を楽しみながらコーヒー? なんて贅沢な…

「極楽、極楽♪」足湯を楽しみながらコーヒー? なんて贅沢な…

30周年も過ぎた11年、晩秋の朝。その玄関前に1台のマイクロバス。
泉支部のみなさんが笑い声とともに乗りこみます。山形県の名湯「あつみ温泉」へ向けて、楽しみにしていた行楽に出かけるのです。バスの中、そのはしゃぎようはまるで子どものよう。…いや、もしかすると今時の子どもたちより元気かもしれません。それはさておき、行く先には紅葉、温泉、楽しい昼食、鮭の遡上が見られるという温海川が待っているのです。
「飴っこ、舐めるかー? お茶っこ飲むかー?」
「マイク、貸して! このバス、マイクはねえの?」    
「おめえの声だば、マイクはいらね。でかい声だば、元気の印だ!」
行楽を楽しんだそのあとも、みなさんの元気は衰える気配を見せません。帰路の大詰めは大合唱で締めくくりました。まもなく終点というあたりで語ったみなさんの感想…。
「楽しかった。ぜひまた参加したい」
「組合員になって、みんなと手をつないだからこその楽しみだと思います。1人ではこの楽しみは味わえません」
「楽しい。これが一番。来年も元気での、また、みんなでどこかへ行きましょう」
「施設づくり」と「1万人組合員実現」。その一翼を担ってきた泉支部。達成感が元気の源になっていたようです。

泉支部

「私の血圧はどうだった?」行楽先でも健康チェックはしっかりやります

「私の血圧はどうだった?」行楽先でも健康チェックはしっかりやります

泉支部が誕生したのは07年10月のことです。それまでは奥羽本線を境に東・西ブロックに分かれて班活動などをおこなっていましたが、支部を立ち上げるまでには至りませんでした。しかし、泉町に酒田健康生協の拠点となる「健生ふれあいクリニック」ができ、その後、30周年をどんな姿で迎えるか、という討論が盛り上がる中で、これまでの流れが変わりました。何でもかんでも職員頼みではダメだ。組合員は酒田健康生協の「お客」じゃない。酒田健康生協をつくっていく主体者なのだ。酒田健康生協を発展させ、それを支えていくためには地域に住む組合員と組合員をつなぎ、それを「力」に変えていくとりくみをしなければならない。そのために必要なこと。それは支部を設立すること。こうした問題意識が広がったのです。

「みんなで旅行は楽しいね~♪」マイクロバスの中。行きも帰りも大はしゃぎ

「みんなで旅行は楽しいね~♪」マイクロバスの中。行きも帰りも大はしゃぎ

しかし、支部設立となると運営を支えていく「担い手」が必要になります。支部長の佐藤勝也さんがいいます。
「班に集まってくる人をのぞけば、誰が組合員なのかもわからないような状態だったからね。担い手さんの探しようもなかった。最初は本部の組織担当職員の力を借りて、人探しから始めたわけよ。で、まあ、やっと運営委員会ができた。それまでは、みんなバラバラになっていて、力の合わせようもなかったわけだから、もったいないことをしたわけよな」
地域を歩き、語り合い、やっとかたちを整えた運営委員会。そこで次の基本方針を確認し合いました。
「いきいきした班活動をふやしていこう」
「地域の健康とくらしを守る運動を積極的にすすめていこう」
「出資金ふやし、組合員ふやしに粘り強くとりくもう」
そして、5年目。年間行事を企画、立案、そして実践する力をつけたのです。恒例になった「秋の行楽」もその一環、というわけなのです。

泉町に仲間をふやす

「支部活動があってこその食事会」みなさん、この時を楽しみにしていました

「支部活動があってこその食事会」みなさん、この時を楽しみにしていました

JR酒田駅の北側。奥羽本線の東西にまたがる泉町。西側には旧来の人々。東側には「酒田の大火(76年、1774棟を焼きつくし、1,000人に近い負傷者を出した)」で被災したために移り住んだ人、その後、土地を求め、家を建てた人。最近になってアパートやマンションに転居した人など多様な人々がくらしています。いわゆる「新しいまち」です。副支部長の岩崎武弥さんがいいます。
「やっぱり、人と人のつながりがないというか、地域コミュニティーというものがまだできていない。そんな感じがするんです。ですから、地域訪問し、組合員をふやすということは、地域コミュニティーをつくっていくということでもあるわけです。くらしの現場にみんなの力でセーフティネットを構築するっていうかね、これも私たち健康生協の大切な役割だと思いますね。この頃は、班会もだいぶ開かれるようになってきました」

「おいしい芋煮ができたよ!」ふれあいまつり。提供した芋煮は300食。おいしいと大好評でした(写真提供 酒田健康生協)

「おいしい芋煮ができたよ!」ふれあいまつり。提供した芋煮は300食。おいしいと大好評でした(写真提供 酒田健康生協)

「2010年度・泉支部総会」の資料を見ると、組合員と職員の協力で88人の仲間をふやし、支部の外にも15人の仲間をふやしたと記載されています。運営委員で支部の事務局を担当している高橋慶子さんがいいます。
「ふやした仲間と、どうつながり続けていくか。これからの宿題は、そこですね。私たちの支部は事務局、健康づくり委員会、仲間づくり委員会、広報担当などの専門部を19人の運営委員でそれぞれ担っているわけですが、各委員会がもっと積極的に企画・提案する力をつける、そうしてもっと支部運営委員会の総合力を高めていく。ここの努力をしないと、地域の人たちとのつながりもしっかりしたものになっていかないのではないか。そんな気がしています。この支部はまだ5歳。これからです」

「つながること」にこだわって

「こんにちは 酒田健康生協です!」笑顔で地域を歩きます

「こんにちは 酒田健康生協です!」笑顔で地域を歩きます

秋の行楽が無事終了した翌日、運営委員のみなさんにお話を聞きました。老人クラブともっとつながりを深めよう、単独班会が難しいところは合同班会という形で支えていこう、運営委員会の若返りにとりくもう…。さまざまな声が飛び交いました。そして、運営委員のみなさんに共通していたひとつの思い。それは、「人と人をつなぐこと。それを力に変えること」でした。
今年の秋もまた、マイクロバスの中に「つながること」から生まれてくる「元気な笑い声」が満ち溢れますように…。

〈酒田健康生協〉
●設立年月日 1979年12月13日
●組合員数 1万96人
●出資金 4億2,252万4,000円
●支部・班数 4支部 150班
●事業所 医科診療所1 介護関連5 メディカルフィットネス1 保育園1 高齢者住宅「きらり」1
※2011年10月末日現在

〈泉支部〉
●設立年月日 2007年10月29日
●組合員数 1,010人
●班数 18班
●支部役員数 19人
※2011年3月31日現在