医療福祉生協の理念をつくろう(10) 理念・ビジョンは「未来視点」で:comcom12月号

医療福祉生協連専務理事 藤谷惠三

20年前、当時の日本生協連医療部会は「2000年の医療生協」というタイトルで月例学習会を開催していました。「プロジェクト2000」という委員会をつくり、10年後の21世紀にどのような医療生協が求められるかについて2年間かけて論議し、その内容をパンフレットにして組合員に伝えています。そこでは「医療生協における民主主義」「医療生協の保健教育のシステムづくり」などがテーマになり、それが後の「医療生協の患者の権利章典」(以下「権利章典」)づくりに活かされています。

今私たちは、2年間かけて医療福祉生協の理念と2020年ビジョンを論議してまとめると同時に「権利章典」に替わる新しい文書づくりにとりくんでいます。

1990年当時の記録には「日常的に事業を利用できる診療圏以外に組合員がふえるとは考えにくい」「医療生協だけが患者のことを考えた医療ができるとは思えない」という論議が見受けられます。いろいろな先進的なとりくみがあった一方で、これらの意見がまだ医療生協の常識だったことがうかがわれます。このような当時の常識を乗り越え、すばらしい「権利章典」をつくることができたのは、当時の論議が「未来視点」「ありたい姿」を出発点にしたからだと私は考えています。「現状に問題があり、それを解決するために何をすべきか」という発想は年度計画や方針をつくるうえでは大事な視点です。しかし、理念や長期のビジョンを考える時には「未来視点」が必要です。

私たちの地域が10年後はどうなっているのか、そこでは何が求められているかを出し合い、医療福祉生協には何ができるのかと発想することが「未来視点」です。「未来のありたい姿」の追及ともいえるでしょう。理念やビジョンづくりでは、過去の経験から将来を見るのでなく、超高齢社会という未来社会でも希望を持って生きるためには、何が必要かを論議することが求められています。

10年、20年後の地域の姿を描き、そこでくらし続けられるために必要な医療福祉生協の役割を見据え、そこに到達する道筋をみんなで確認することが理念やビジョンづくりに求められていることです。