キーワードは「つながる」 徳島健康生協 国府支部:comcom11月号

国府町と国府支部

徳島市の市街地から西へおよそ5km。吉野川の河口付近で合流する鮎喰川を渡ると国府町です。「国府」とは奈良・平安の時代、当時の行政単位であった国ごとに置かれた役所のこと。というわけで、名前からして、1千年を超える歴史を有した町であることが分かります。見渡すと、周辺にはなだらかな丘陵、その裾野に広がる田園。その昔はきっと情緒豊かな「里」であったに違いありません。がしかし、それは、今は昔の物語。現在は徳島市で働く人々のベッドタウン。かつての田園には住宅が立ち並んでいます。旧来の「里」から住宅地へと変貌していく国府町。ここで活動しているのが国府支部です。

一歩一歩

組合員さんとのふれあいを大切にする誕生月訪問

国府支部ができたのは2005年2月のことです。国府町には1千人を超える組合員のみなさんがくらしていましたが、それまで支部はなく、2つの班が活動しているだけでした。国府町に支部をつくる。これは長い間の懸案でしたが、なかなか実を結ばなかったのです。にわかに支部づくりの機運が高まったのは、04年のことでした。よその地域で支部活動をしていた組合員さんが国府町に転入し、その力を発揮してくれたのです。しかし、その方は残念ながら病魔におかされ、倒れてしまいました。ですが、支部づくりのバトンは手渡されました。それまでサポート役だった傳住敏明さんが、しっかりと受け取ったのです。傳住さんは、仲間とともに念願の支部づくりを果たし、支部長を引き受けました。そして、この6年ちょっとの間、着実に組合員をふやし、2班しかなかった班を17班まで増やし、出資金の年間目標も年ごとにきちんと達成してきました。機関紙の手配りも300部程度だったものを700部近くまで拡充したのです。

傳住敏明さんがいいます。
「やると決めたことをちゃんとやる。みんなで力を合わせて一歩一歩すすむ。特別なことをやってきたわけじゃない」

地域を歩く

「今日は「体のしびれ」について学習しましたとても勉強になったよ」新人看護師さんの参加で盛り上がる班会

地域にくらす組合員の声を聞かなければ、支部の活動方針はつくれません。国府支部は機関紙の配達状況を調べたり、徳島健康生協に対する要望を聞いたりするために地域を歩きました。ある日のことです、機関紙を届けるために組合員宅を訪問をしました。そこで悲痛な訴えを聞きました。その人は高齢の一人暮らし。リュウマチが進行し、障害者一級という状態なのに何の援助も受けられないまま呻吟していたのです。理事の傳住美智子さんがいいます。

「その人は一人ぼっちの組合員だったのです。支部ができたことで、一人ぼっちから逃れることができたのです。さっそく本部と連絡を取り、介護認定の手続きをすすめて、事なきを得ました。もし、支部ができず、一人暮らしの状態が続いていたら…、そう思うとぞっとしますね」

これは、支部の重要性を改めて実感させられた出来事でした。運営委員の板橋テル子さんがいいます。
「国府にも支部があるんでえ(あります)、ということをきちんと伝えて、地域の組合員さんとつながりあうようにせんとな。お互いつながらんことには、助け合うことも、力を合わせることもできん」

「班」と「サークル」でつながる

ウォーキング前の血圧チェック。50人規模ですから一仕事です

国府支部の班会開催は年間で150回を超えます。新しい班を毎年2班つくる。この自主目標を確実に達成してきた結果です。気延班とウォーキング班の合同班会にお邪魔しました。班会はワイワイガヤガヤ、じつに楽しそうです。班のメンバーがいいます。

「毎月1回、1年分。自分たちがやりたいことを計画してやるわけだから、これが楽しいのよ。こうやってワイワイやるのがいいんだわな。気分は前向きになるし、脳トレにもなるし…。やっぱり、あれやな、年取ってからの閉じこもり、あれは一番の敵やな」

運営委員のみなさんがいいます。
「これからは班会、サークルだけじゃなく、人と人がつながれる『場づくり』。これを意欲的にすすめていきたいと考えています」

「健康」でつながる

毎月1回のウォーキング。四季折々の変化を楽しみながら歩きます

国府支部は、この間に2つの大きな特徴をつくってきました。それは「健康」をキーワードにした「場づくり」です。そのひとつは、恒例・秋のバスツアー。毎年、40人から50人の組合員さんが参加します。数年前、支部がなかった頃には考えられなかったことです。支部ができたことによって「楽しみ」が生まれ、「つながる」ことができるようになりました。もう1つは、毎月定例で実施しているウォーキング。この催しにも50人規模の人たちが集まってきます。

傳住敏明さんがいいます。
「やっぱり恒例・定例というのがいいんだろうな。バスツアー、ウォーキングといえば国府支部や、といった具合で支部のカラーになるからな。ウォーキングは毎回地元紙の広報欄を活用してお知らせをしているせいか、最近では国府の組合員が6割、あとの4割はよそから集まって来るようになった。組合員じゃない人も来てな、いっしょに歩いた後で組合員になってくれる。そんなこともある

「まちの人たち」とつながる

9月初旬。夕刻。鮎喰川をまたぐ鮎喰橋のたもと、国道192号線沿いに幟旗がはためきました。強烈な残暑をものともせず、その旗を持って立っていたのは国府支部のみなさんです。高過ぎる国保料の引き下げを求める「徳島市・国保をよくする会」の一斉行動に参加したのです。全国の県庁所在地でもっとも高いといわれている徳島市の国保料は、市民のくらしに重くのしかかり深刻な事態を生み出しています。高額のために3割の人たちが滞納しているということです。そればかりではありません。国保料を支払った人たちは、生活が苦しく、医者にかかることもできないというジレンマに陥っているのです。

国保料の引き下げを訴える「国保をよくする会」。この日の顔ぶれは、ほとんどが国府支部のみなさんでした

支部のみなさんがいいます。
「まさに深刻な問題です。ほかの団体や組織、まちのみなさんと連帯してなんとか保険料の引き下げを実現させたいと思っています」

道路沿いに設置された拡声器から切実な声が流れます。
「みなさん、年間所得200万円、4人家族の場合、その保険料はなんと50万円。一体どうやって払えというのでしょうか」

照りつける夕日。むっとする暖気。ときおり通りぬける熱い風。そのなかで国府支部のみなさんは立ち続け、訴え続けていました。みなさんがいいます。
「命とくらしを守る。医療福祉生協だからこの運動の真ん中にいるのです」

地域を見つめ、まちを見つめ、つながることをキーワードに活動する国府支部。一歩ずつでいい、というその動きは、確実に存在感を増しているように思えます。

〈徳島健康生協〉
●設立年月日 1961年3月26日
●組合員数 4万1,944人
●出資金 10億5,350万4,711円
●支部・班数 31支部 202班
●事業所 病院1 医科診療所5 歯科診療所2 介護関連11 フィットネス1 組合員住宅1

〈国府支部〉
●設立年月日 2005年2月19日
●組合員数 1,434人
●班数 17班
●支部役員数 9人

※2011年10月1日現在