医療福祉生協の理念をつくろう(9) 医療福祉生協が大切にする健康観:comcom11月号

医療福祉生協連専務理事 藤谷惠三

前回は「医療福祉生協をどう定義するか」について考えてみました。いろいろな表現はありますが、ひと言でいうと「健康とくらしにかかわる要求を実現する生協」といえると思います。今回は、私たちにとって「健康」とは何か?「健康」をどう捉えるかについて考えてみたいと思います。

医療福祉生協連では、医療福祉生協が大切にする健康観を「昨日よりも今日が、そして明日が一層意欲的に生きられる。そうしたことを可能にするため、自分を変え、社会に働きかける。みんなが協力しあって楽しく明るく積極的に生きる」状態として提案しています。

私たちのこの健康観は、世界保健機関(WHO)が1948年の設立時に人類の健康の増進をはかるために確認した有名なWHO憲章を前提にしています。そこには、健康は「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱な状態ではない」と明記されています。今では国際的にはこの健康観が広く受け入れられています。

しかし、まだ一般的に健康な状態とは「病気をしていない状況」という捉え方をされているのではないでしょうか。「健康」を、医療や介護を必要としているかどうかで判断している場合が多いと思います。

このような捉え方だと、障がい者や慢性疾患を持っている人は絶対に健康になれないということになります。たとえ障がいや病気を抱えていても希望をもって生きている、そのためにいろいろな努力をしているという状況が「健康」といえるのではないか、というのが医療福祉生協の健康観です。健康を医科学的な側面と人生観的な側面の両方から考えています。

さらに、86年にWHOが採択した「健康づくりのためのオタワ憲章」では、健康を達成するための前提条件として、 (1)平和であること (2)住居があること (3)教育が受けられること (4)食べる物があること (5)収入があること (6)安定した環境があること (7)生き延びるのに必要な資源があること (8)公正な社会で公平に扱われていること、の8つをあげています。

このように、健康は個人の努力だけでは達成できず、社会的な要因が大きく作用するものだというのが世界の常識です。健康観は一人ひとりが持つものですが、それは国や社会の在り方・文化に大きく左右されます。

同じくWHO憲章では「達成可能な最上級の健康水準を楽しむことは、人種、信条、政治理念、経済的社会的状況に関わらず、全人類の基本的権利の1つである」と宣言しています。これを私たちは「健康権」と捉えています。

みなさんは「健康」をどう考えますか。健康をどう捉えるかによって、医療福祉生協の役割や活動の理解も大きく変わってくると思います。