私たちの組合員センターづくり ろっこう医療生協(兵庫県)東灘ブロック・東灘支部:comcom10月号

神戸市灘区・東灘区

 

候補物件の下見

神戸市は9つの「区」で構成されています。中心街の三宮があるのは中央区。その東隣が六甲の山並みと日本酒で知られた灘区。そして、そのまた東隣が東灘区です。今回は、この東灘区で「組合員センター(たまり場)」づくりにとりくんでいる組合員のみなさんを訪ねました。

 

ろっこう医療生協と組合員センター

3つの医科診療所を持つろっこう医療生協では、診療圏にあるいくつかの支部がお互いに連携し、それぞれの診療所を支えています。その支部の活動拠点となっているのが、それぞれの組合員センターです。このセンターでは実に多彩な組合員活動がおこなわれています。ふれあいお食事会、憩いの広場、セラバンドやダンベルなどを使った健康づくり、ヨーガやフラダンス、手芸、ヘルシー調理教室、男の料理、コーラス虹の会、謡曲に歩こう会…。このほかにも水彩画クラブや絵本の読み聞かせなど数え上げればきりがないほどのプログラムです。組合員センターの稼働率は90%を超えるというから驚きです。つまり、毎日、誰かが、何かをしている地域のカルチャーセンターといっても過言ではありません。組合員のみなさんはやりたいことが見つかるとグループをつくり、活動を統括している「けんこうクラブ」に登録し、センターを利用することになります。それが年ごとに増えてきたのです。

理事の心のうち

 

使い勝手、広さなど様々なことを確認します

8年前、東灘区の理事として推挙された石田晶子さんには、ひとつの気がかりがありました。東灘区は隣の灘区にある六甲道診療所の診療圏に組み込まれていました。しかし、東西に長く伸びた東灘区。灘区寄りの組合員にとってはさほど遠くない六甲道診療所も、東部地域に住む組合員にとっては、とても遠い診療所なのです。出資金を出しろっこう医療生協に加入しても、診療所を利用したことがない、組合員センターの楽しい活動も体験したことがないという組合員が多くいたのです。石田さんがいいます。
「せっかく組合員になってもらっても、その場限りじゃねえ。申し訳ないというか、なんというか…。それが気がかりだったのよ」

 

石田さんは、そうした思いを解決するために声を上げました。
「私たちの東灘区にも組合員センターをつくりましょう」

その胸中には組合員センターの先にもうひとつの夢がふくらんでいました。それは、東灘区にもろっこう医療生協の診療所をつくりたいというものでした。しかし、そのためには支部活動の確立、東灘区にくらす組合員の団結、出資金ふやし、組合員ふやし…と、越えなければならない山がいくつもありました。

「だから、診療所の話は胸におさめて、まずは組合員センターをつくろうって声を上げたの。急がば回れというやつよね」

時は熟し始めた

 

「組合員センターができたらいっしょに楽しいことやりましょうね」地域での会話もはずみます

東灘支部の大久保幸子理事兼支部長がいいます。
「東灘区にはろっこう医療生協の事業所が何もないんです。この先、東灘区のろっこう医療生協を大きくしようと思ったら、やっぱり事業所が必要やし…。そのためには自分たちで何とかするという気構えがないと、いつの間にか夢で終わってしまうでしょ? それで、一念発起。東灘ブロックを六甲道診療所の診療圏から分離独立させようということになったんです。1年前のことですわ。組合員センターづくりは、その第一段階やからね。失敗するわけにはいかないの」

 

みなさんの心意気は、具体的な動きをつくりだしました。物件探しです。

東灘区の組合員センター

いざ物件を探すとなると、次から次へと課題が見えてきます。地域組合員が集いやすいこと。人の出入りや多少の音を出しても近所迷惑にならないこと。地域の人たちにわかりやすい場所であること。気軽に出入りできるような構造であること。車や自転車がある程度は停められる条件があること。ろっこう医療生協の看板や各種お知らせなどのポスターが自由に掲示できる条件であること。体操やストレッチを含む様々な活動プログラムの実施が可能であること。一定の人数に対応できるトイレやキッチンがあること…。つまりは、使い勝手の良い物件。こうなると簡単には見つかりません。事業収益が上がるわけではありませんから、家賃にしても改修費用にしても予算は限られています。下見をした物件も30件を超えました。訪ねた不動産屋も10店舗を超えました。この1年近く、話し合いをもち、条件を検討し、また探すということの連続でした。やっと候補物件が3ヵ所に絞られたのは今年の夏のことです。

8月8日

 

「センターができたら班会も開きやすくなるね」「たくさんの人が寄れる場所にしたいね」東灘ブロックの委員会で慎重な場所選び。みなさん真剣です

東灘区にある御影公会堂。1932(昭和7)年に着工された旧い公会堂です。堅牢につくられたこの建物は阪神淡路大震災に耐え、当時は300人の避難所として役立てられたといいます。灘区との区境になる石屋川のほとりにどっしりと建っています。その3階で東灘ブロックの役員会が開かれました。いよいよ、組合員センターとして使う物件の決定時期がやってきたのです。しかし、いざ決定となると、それぞれの思いが交錯します。選びに選んできたのですが、どの物件にも一長一短があってなかなか確定できません。会議は長引きました。そして、最終的な結論はこうでした。
「もう一度現地を見に行こう。まだ物件を見てない人もおるし…。もう一度見て、それで決めよう」

 

各物件の条件は出揃っていて、その都度の検討も重ねてきたのですが、「決定」にはなおも慎重を期そうというわけです。そこには東灘ブロックの未来、その夢の大きさと責任の重さが作用していたのでは…。

旅立ちの時は、今

 

「この距離なら大丈夫かなぁ…」アクセスマップをじっくり見て考えます。「足の便」はとても重要な条件です。

東灘ブロック委員のみなさんには、組合員センターでとりくみたいプランがたくさんあります。食事会におしゃべり喫茶、文芸サークルに各種健康づくり、地域の人たちとつながる朝市、子どもたちとの集い、手芸に脳トレ、認知症予防のとりくみ…。これまで六甲道組合員センターで培ってきた経験とノウハウが、今、活かされようとしているのです。大久保幸子さんがまとめました。
「六甲道組合員センターのにぎわいは10年かけてつくってきたもんやからね。東灘かて、一定の時間はかかると思います。あせらず地域にしっかりと根を張り、その根を広げていく。そんな活動をしていきましょう」

読者のみなさんが、この頁をお読みになる頃には、きっと「決定」がなされ東灘組合員センターが動き始めていることと思います。医療福祉生協らしい花がたくさん咲き乱れるよう祈ってやみません。

 

 

炎天下の最終チェック。センターを利用する人の気持ちになって現地まで歩きます

 

〈ろっこう医療生協〉
●設立年月日 1980年11月30日
●組合員数 1万9,337人
●出資金 4億9,488万8千円
●支部・けんこうクラブ数 16支部 110けんこうクラブ
●事業所 医科診療所3 介護事業所9

〈東灘支部〉
●設立年月日 2000年
●組合員数 1,372人
●けんこうクラブ数 4けんこうクラブ
●支部役員数 5人

※2011年8月23日現在

ろっこう医療生協(兵庫県)東灘ブロック・東灘支部