医療福祉生協の理念をつくろう(3) 災害被害を軽減するまちづくり:comcom5月号

医療福祉生協連専務理事 藤谷惠三

3月11日に発生した東日本大震災は、いまだにその全貌が明らかにならない甚大な被害をもたらしています。地震とその後の津波災害、そして福島第一原子力発電所の放射能災害は、人々のいのちとくらしに重大な打撃を与えています。あらためて被害にあわれた組合員、地域の方々に心からお見舞いを申し上げます。

今回の震災では、全国の医療福祉生協から医師や看護師が被災地に駆けつけ懸命に活動し、また被災した組合員、職員も復興の先頭に立って献身的に働きました。その姿に医療福祉生協の素晴らしさを感じました。

 

今回の大災害は、阪神淡路大震災とは違う特徴がありました。それは、(1)地震が広範囲な被害を及ぼしたこと、(2)20mにも達した大津波が広い海岸地域を襲ったこと、(3)原子力発電所の災害が加わったことなどです。

そのため、支援にもおのずから限界が生じました。未曾有の災害の規模と放射能に阻まれて、医療福祉生協という組織だけでは活動ができず、残された医療機関での診療活動でも、避難所での医療活動でも、自治体や医師会といっしょになって役割を分担しあうことが必要でした。また、地域全体が津波に飲み込まれた地域では組合員の安否確認もできず、移動手段や食料が限られる中で避難所を訪問しての支援活動も十分にはおこなえませんでした。私は日暮れの被災地に立ちつくし、大規模災害では被災してからではできることが限られることを痛感しました。

 

これを教訓に、医療福祉生協の災害対応も発展させる必要があると思います。以前なら募金や災害ボランティアを組合員や市民に呼びかけることが災害対策の中心だったと思います。しかし、今度の大震災が教えているのは、平時から生協の組合員や事業所が災害被害を想定して災害時に地域全体に対して何ができるかを考えておくことの大切さです。

地域を単位に組織されている医療福祉生協の特徴とつながりを使って、「地域の安全」をどう創ることができるか。生協単位、事業所単位、支部単位で考える必要があります。

そして、自治体、地域の医療や福祉団体、自治会や町内会などともよく相談して、助けあいのシステムや役割分担などを決めておく必要があります。

 

医療福祉生協の理念(めざすもの、あるべき姿)の中には、こういう社会的な役割を盛り込む必要があります。一人ひとりの組合員の力だけでは、災害を防ぐことはできません。しかし、災害による被害を軽減すること、災害に強いまちづくりをすることはできます。

日頃からの地域のつながり、人々のつながりを創ることが最大の防波堤になるのではないでしょうか。