私たちのボランティア活動~東京ほくと医療生協 足立西部第1支部:comcom3月号

江北生協診療所

一級河川・荒川は東京湾に注ぐ手前で大きく蛇行し、広々とした河川敷を形成しています。その流れの北側に東京都足立区江北と呼ばれる地域があります。今回登場していただく足立西部第1支部の活動エリアです。かつては荒川流域に広がる田園地帯でした。しかし、現在はアパート、マンション、公営住宅といった高層の建物が林立し、当時の面影はすっかり消えてなくなりました。そうした住宅街の一角に、江北生協診療所があります。足立西部第1支部のみなさんは、この診療所を拠点にしてさまざまな活動を展開しています。

大忙しの1年間

診療所横の公園。掃除がすんだらみんなで体操。これも毎日の日課です

「これが私たちの1年間です」
運営委員の新井初江さんが、資料を見せてくれました。そこには、次のような活動内容が書き込まれていました。

●支部運営委員会…毎月1回。4課題の追求。学習計画立案。年間企画の検討
●事業利用委員会…毎月1回。「虹の箱」の投書対応。改善事項検討
●機関紙編集委員会…毎月1回。支部ニュースの発行
●保健委員会…青空健康チェック。便チェック。世界保健デー
●ボランティア委員会…診療所の毎朝清掃。朝の体操。診療所に飾る花を買うためのミニバザー
●高齢者向けの企画やサークル活動…「菜の花会」「お茶室(高齢者のための食事会)」「小さな小さな運動会」「望年お楽しみ会」「餅つき」「お料理教室 みづほの会」「男の料理教室」「お習字」「歩こう会」「セラバンド体操」「寺子屋(通信教育をみんなで学ぶ)」「健康まつり」「子ども平和の集い」

新井さんがいいます。
「これだけやっていると、1年なんて、本当にあっという間ですよ」

診療所周りはピッカピカ

朝、8時。江北生協診療所に清掃ボランティアのみなさんが集まってきます。そして、8時30分。それぞれの持ち場へ向かい、それぞれのペースで動き出すのです。ボランティアのみなさんがいいます。

「清掃は毎日。来られる人が来るんです。もう日課ですね。毎朝、6、7人は来ていますよ」
「私たち、掃除は手抜きでやりましょうっていっているんです。完璧にやって終わらせるより、適当にやって明日につなげようってこと。それが真意。…とはいうものの、やっぱりきれいにしちゃいますけどね」
「私たちの診療所ですからね。あそこはきれいで気持ちいい。そういってもらえたらうれしいじゃないですか。職員にも喜んでもらえるし、いい仕事もしてもらえる。だから続くんですよ」

江北生協診療所の開所は1998年4月1日。清掃ボランティアの開始は、その年の3月30日。まさに開所前夜から始まったのです。そして、今日に至る13年間、毎日続いているのです。清掃にかかわったボランティアの数は、延べ人数でおよそ年間1500人。診療所をピッカピカにしていたのは、組合員の熱き思いでした。

チョコボラ、やってみませんか

お掃除ボランティアに参加したみなさんの名前が全て記録されています

できることをちょっとやるボランティア活動。それを略して「チョコボラ」。足立西部第1支部は、その前身の足立西部支部の時代から、このボランティア活動にこだわってきました。介護保険ができる前は、入浴サービスのサポートもしました。診療所ができてからは、小児科を利用する若いお母さんたちの子育て支援もしました。とにかくチョコボラが役立つという場面があれば、積極的に参加し、活動をつくってきたのです。その歴史的な流れが、今日の毎日清掃につながっています。

みなさんがいいます。
「チョコボラは組合員活動の入口。最初から保健大学だ、まちづくりだっていうと敷居が高いっていうか、構えちゃうんですよね。でも、ちょっとしたお手伝いなら誰にでもできる。そこで、仲間と出会い、体験を積み重ね、興味がわいたら次に進む。そういう過程が大事だと思うんです。チョコボラがきっかけになって立派な担い手になったという人が、うちの支部にはたくさんいますよ」

男の料理教室 その狙いとは?

男の料理。できたらみんなで食事会

江北生協診療所の向かいに、「かえで薬局」があります。その2階にある集会室を借りて様々な支部企画をおこないます。取材当日、お邪魔をすると女性陣が見守る中、男性陣が必死でうどんづくりをしていました。参加者の1人がいいます。
「妻が寝込んでしまって台所に立てなくなったんです。だから自分がやらないと。でも、これまで包丁なんて持ったこともない。料理なんて何にもできない。だから、こういう教室があると助かります」

女性陣がすかさずいいます。
「そういう男性がいたら、どんどん誘ってきてね」
「はい。わかりました」

と、ここで支部の狙いが明かされました。
「男性ってなかなか出てこないでしょ。だから、男性がいないとできない企画を考えるのよ。こういうお料理教室とか、お正月の餅つき大会みたいな…。みんなでやる楽しさを男性陣に体験してもらえれば、奥さんの活動も理解してもらえるし、料理ができれば支えてもらうこともできるってわけ。活動に参加したいけどご主人がいるから家を空けられないっていう人、けっこう多いのよ」

男の料理教室は、料理を覚えてもらうだけが目的ではありませんでした。その奥には医療生協の活動に参加する女性たちを理解し、支援するという環境づくりが仕組まれていたのです。

後継者づくりは歴史的なロマンの中で

後継者問題。これは全国の支部が抱えている大きな課題のひとつです。その対策を尋ねてみました。運営委員の新井初江さんがいいます。
「その昔、子育て時代につながりをもったお母さんたちが、子どもたちを育て上げ、現役の仕事も終え、やっと地域に出られるようになった。いよいよ待ちに待ったバトンタッチの時期到来という感じですね。人生にはいろいろな局面がありますから、その場面にふさわしい付き合いをつくり、お互いのつながりが切れないようにしてきたんです。やっぱり、地域の中で時間をかけて育んでいかないとね。後継者づくりは、場当たり的にではなく、歴史という長い時間軸とロマンの中で準備する必要があると思いますね」

田園地帯から密集する住宅地帯へと大きく変容する中で、お互いに支え合い「絆」を何より大切にしてきた支部の底力。そして、声をかけ続け「その時」を待つという粘り強い活動。人生という時間軸を見据えたとりくみが深く印象に残りました。

支部でつくった新病院模型。出資金集めに効果を発揮

〈東京ほくと医療生協〉

●設立年月日 2001年4月1日、東京北部医療生協と荒川生協の合併で、東京ほくと医療生協設立
●組合員数 3万4,845人
●出資金 13億4,587万円
●支部・班数 37支部 632班
●事業所 病院1 医科診療所9 歯科診療所1 訪問看護ST4 介護関連事業10
〈足立西部第1支部〉
●設立年月日 2000年4月1日
●組合員数 1,390人
●班数 15班
●運営委員数 12人
●機関紙の手配りさん 83人