医療福祉生協の理念をつくろう~憲法前文から学ぶ~:comcom3月号

医療福祉生協連専務理事 藤谷惠三

医療福祉生協連では、今年全国の組合員とともに、全国の医療福祉生協の理念(めざすもの、あるべき姿について)の論議をはじめます。理念は、私たち医療福祉生協がまちづくりや健康づくり、事業などでどんなことをめざすのか、どういう医療福祉生協をつくろうとしているのかを広く社会に示すものとなります。この理念について考えるとき、まず基本になるのは国の理念やめざすものを決めている日本国憲法(1946年11月公布)です。

日本国憲法は、補則まで入れると11章103条にのぼります。私は、一番大事なのは憲法前文だと思います。この前文で、憲法の基本原理といわれる「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3原理を明らかにしています。その中でも基本的人権は、(1)恐怖から逃れる権利(自由権)、(2)欠乏から免れる権利(社会権)、(3)平和のうちに生存する権利(平和的生存権)の3つに分類されます。

私が前文で一番好きなのは、この基本的人権を述べた部分です。「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」

まさに医療福祉生協がめざしているものが簡潔明瞭に述べられていると思います。恐怖から逃れる自由権は、自由にものを考え、自由に行動できる権利です。欠乏を免れる社会権は、人間が人間らしく生きるための権利で、生存権、教育を受ける権利、労働基本権などのことです。そして戦争の放棄や幸福追求権など平和的生存権が謳われています。ここに憲法9条と25条を不可分のものとする日本国憲法の神髄があると思います。

私たちのいのちとくらしの危機は、貧困や失業、差別や環境破壊など広範に広がっています。私はこの危機を突破するためには、「憲法9条と25条を守る」という運動だけでは限界があると思います。私たちの理念づくりも日常の活動も、憲法前文の精神を踏まえ、「主権」「基本的人権」「平和」の3つをキーワードに総合的にとらえてつくり上げる必要があると考えています。

この前文は642字です。今でも中学校の公民の授業では暗記をしているところもあるようです。もう一度前文を読んで、私たちのめざすものを考えようではありませんか。

日本国憲法前文

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。