社会保障制度審議会介護保険部会「介護保険制度の見直しに関する意見」に見解

医療福祉生協連の社会保障制度審議会介護保険部会
「介護保険制度の見直しに関する意見」に対する見解

厚生労働省の社会保障制度審議会介護保険部会は、2010年11月30日に「介護保険制度の見直しに関する意見(以下、「意見」)」を発表しました。

日本医療福祉生活協同組合連合会(略称:医療福祉生協連、本部:新宿区百人町、高橋泰行会長理事) は、2011年1月21日、この「意見」に対して、「介護を必要としている人が必要な介護を受けることができることを基本とし、介護保険利用者の満足度を高める観点からの見解」を表明しましたので掲載します。

<医療福祉生協連の見解>

社会保障制度審議会介護保険部会
「介護保険制度の見直しに関する意見」に対する見解

2011年1月21日
日本医療福祉生活協同組合連合会

社会保障制度審議会介護保険部会は11月30日に「介護保険制度の見直しに関する意見(以下、「意見」)」をまとめました。「意見」は現在検討されている「地域包括ケアシステム」との関わりが深く、平成24年度施行の診療報酬・介護報酬同時改定、第5期介護保険事業計画を検討する際の基本となるものです。

「意見」に盛り込まれた介護保険制度の見直し項目の多くに反対意見が併記されています。国民的な視点での抜本的な再検討が必要と考えます。

日本医療福祉生活協同組合連合会(略称:医療福祉生協連)は「意見」に対して、介護を必要としている人が必要な介護を受けることができることを基本とし、介護保険利用者の満足度を高める観点から以下の見解を表明します。

○要支援者・軽度の要介護者にかかる給付について

「意見」は、医療ニーズの高い要介護者等への給付の充実を図る一方で、要支援者・軽度要介護者を介護給付の対象外とすることに言及しています。これは2006年介護保険法改正時の重点のひとつである「予防重視型システムへの転換」にも反するものです。

私たちは「軽度者は、効果的なサービスを提供することにより、状態が維持・改善する可能性が高い(平成18年版厚生労働白書)」との認識に立ち、要支援者・軽度要介護者に必要でかつ効果的な介護保険給付が提供されることが必要と考えます。

○要支援者・軽度の要介護者への保険給付割合の引き下げについて

「意見」は「例えば2割」として軽度者の利用者負担増に言及しています。

利用者は、現状においても利用時の費用負担に加え、介護保険料を負担しています。また、給付限度額を超える部分については全額自己負担をしています。

現行1割負担においても自己負担が高額という理由からサービス利用を控える事例があります。利用者負担を2割に引き上げることでさらなる利用抑制を引き起こす可能性があります。経済的な理由から介護保険サービス利用を控えることにより、被介護者本人の状態悪化を招くとともに、在宅介護を支える家族の負担が増えることも考えられます。また高齢者医療制度の見直しにおける70~74歳の2割への負担増の動きも合わせると、医療・介護の両方において利用制限を余儀なくされる事態が危惧されます。

私たちは介護保険法制定の精神に立ち、誰もが必要で十分な介護を受けることができる措置を求めます。

○ケアマネジメントへの利用者負担について

「意見」は、利用者自身のケアマネジメントの内容に関する関心を高め、自立支援型のケアマネジメントを推進するため、ケアマネジメントへの利用者負担導入について述べています。

ケアマネジメントは介護保険制度利用時の入り口に該当する部分です。ケアマネジメントへの利用者負担の導入は介護を必要とする人に対し、介護保険の入り口へのアクセスを制限することにつながります。

私たちはケアマネジメントへの関心を高め、自立支援型のケアマネジメントを推進するためには、利用者負担の導入よりもむしろケアマネージャーの処遇と資質の向上のための施策こそ課題と考えます。

○社会医療法人が特養開設を可能とすることについて

「意見」は、社会福祉法人と同等の公益性を有する社会医療法人について、特別養護老人ホームの開設を可能とするべきとしています。

生活協同組合は消費生活協同組合法に基づき設立された法人です。非営利を原則とし厚生労働省、都道府県の監督のもと事業を行っており、公益性を有する存在といえます。

私たちは組合員・地域住民の方々に医療・介護の切れ目のない支援体制を構築していく観点から消費生活協同組合による特別養護老人ホームの設置が可能となる措置を求めます。

○家族介護者支援に関する法律の制定について

「意見」は、家族介護者支援に関してショートステイの活用とともに、デイサービスにおける宿泊に言及しています。

被介護者本人への介護保険サービスの内容充実とともに、家族介護者の実態やニーズに対応した多様な支援サービスが必要だと考えます。現在、家族介護者へのサービスについては体系化されていません。

私たちは家族介護者の健康や休息、就労、生計、家族関係など介護する人への包括的支援を可能とする根拠法の制定が必要だと考えます。

なお、厚生労働省が2010年12月24日に発表した「介護保険法等の一部を改正する法律案(仮称)」のポイントによれば、所得が高い高齢者の保険給付割合の引き下げやケアマネジメントへの利用者負担について介護保険法改正案から除外する方向になっていることを付記しておきます。

以上

<問い合わせ先>
医療福祉生協連 本部 電話:03-4334-1580