人生九十年時代の人生設計~意識とくらしのつくり変え~:comcom1月号

医療福祉生協連専務理事 藤谷惠三

前号では、超高齢社会の社会保障のあり方について考えました。今回は一人ひとりの生き方について考えてみたいと思います。

「人生八十年」といわれて長くなります。これは「人生五十年」に対して使われた言葉ですが、この「人生五十年」は、源平合戦をもとにした舞『敦盛』で謡われた「人間五十年、化天(仏教で一日が人間界の五十年に当たる世界)の内を比ぶれば、夢幻のごとくなり」(織田信長が出陣の前に舞ったといわれる)が原典になっているようです。統計上は、終戦直後の昭和22年に日本人の平均寿命が50歳になります。そして、女性の平均寿命が初めて80歳を超えたのは1984年ですから、既に「人生八十年」時代から26年になります。

現在は、既に「人生九十年」時代に入っていると思います。平均寿命が男性79・59歳、女性86・44歳と、ともに4年連続で過去最高であり、艱難辛苦を打ち耐えて生き延びてきた60歳の女性の平均余命は88歳になっています(2009年統計)。これは「平均値」ですから、すでに「女性の半分は90歳以上生きるのが当たり前」の社会になっているのです。

 

私たちがこの現実を受け入れられているかというと、なかなか難しいのではないかと思います。この原因は、「世界一急速な高齢化」にあります。自分の育った社会や親の世代とは全く違う環境がまたたく間にでき上がってしまいましたから、これに対応するにはかなり自覚的な意識改革が必要になります。

こういう状況を反映して、私たちの人生設計も「定年後30年間生きる」「女性は平均7年間一人暮らし(男女の平均寿命の差が7歳近くある)」などの現実を前提にしたものになっていないと思います。もっといえば、現在の社会体制では、これを前提にした人生設計は立てられないというのが本音ではないでしょうか。

 

そこで私たち医療福祉生協としてのとりくみが大事になります。社会保障を充実させる運動や「高齢者に優しいまちづくり」運動などをすすめるとともに、組合員の一人ひとりが「人生九十年」時代を意識した人生設計を立てることにとりくまなければなりません。

健康にくらし続けるための人生設計としての「健康ファイル」づくりや介護が必要になることを考えた「マイケアプラン」づくり、誰もが迎える終末期の宣言づくりなどにとりくみ、毎日の生活をより健康的につくり変える必要があります。

 

ある統計では、男性の寿命を縮める原因の第1位が「独身」になっています。食事の習慣が最も寿命に影響を与えるようです。ちなみに第2位が喫煙、第3位が心臓病だそうです。医療福祉生協の健康習慣を取り入れた「健康寿命」を延ばすための活動がますます重要になるでしょう。