2025年・超高齢者社会を支えるために~地域包括ケアと医療福祉生協の役割~:comcom12月号

医療福祉生協連 藤谷惠三

15年後の2025年は、日本社会の大きな転換点になります。65歳以上の人口が3600万人(人口の30%)を超え、戦後のベビーブーム世代(「団塊の世代」)が75歳以上に到達する年だからです。この時代に私たちは、十分な医療や介護のサービスを受けられるのか、その場合の費用がどのくらいになるのか、それをだれが負担するのか、などが大問題です。今、国でも自治体でも、この時代の制度のあり方をいろいろ検討しています。

そのモデルのひとつとして提起されているのが「地域包括ケアシステム」です。平成20年度老人保健健康増進等事業として、昨年5月に地域包括ケア研究会(座長=田中滋・慶応大学大学院教授)から報告書が出ていますが、このシステムは、「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために、医療や介護のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制」と定義されています。 そしてその範囲は、「おおむね30分以内に駆けつけられる圏域(中学校区)」とされています。

 

超高齢社会の社会保障のあり方については、いろいろ論議があると思いますが、私は、この「地域包括」という言葉が示しているように、地域で保健から福祉、医療、介護まで連続してまるごと解決するという視点が何よりも大事だと思っています。

特に、(1)地域での住民同士のさまざまな助け合いと、(2)医療や介護、行政などの連携による効率的で使いやすいサービスの提供——の2つが不可欠であると考えています。

今の介護保険でおこなわれているヘルパーや社会福祉士などのプロの人たちだけによる介護サービスだけでは、もう地域はもたないでしょう。報酬の払い方などは工夫が必要でしょうが、「お互いさま」で困った時に遠慮なく助けを求められ、それに応えてもらえることが当たり前の社会をつくる必要があると思います。

もうひとつ、医療や福祉、介護の事業がスムーズに連携して使いやすいサービスになっていることが大事です。今でも「地域連携」という言葉で病院同士や介護事業所との連携が求められていますが、その連携の責任やそれぞれの状況をよくつかんだコーディネートのあり方があいまいで、必ずしもうまくすすんでいません。

 

私は、この2つの課題を解決できるのが医療福祉生協ではないかと思っています。組合員の助け合い活動を地域レベルに広げ、医療と福祉の事業をさらに発展させることが、超高齢社会を支える大きな保障になるでしょう。私たちのすすめている「いのちの大運動」や「高齢者にやさしい都市づくり」は、今の地域の問題を解決するだけでなく、この運動から多くの経験と知恵を蓄え、超高齢社会を乗り越える力をつける活動でもあります。