新しい支部の誕生~みやぎ県南医療生協 槻木支部:comcom11月号

協同のある風景 2010年11月 写真

みやぎ県南医療生協

杜の都仙台から東北本線に乗って約30分。緑豊かな田園風景となだらかな丘陵を眺めながら南下していくと、船岡という駅に到着します。その駅周辺に広がったまちなみが柴田町。人口4万に満たない小さなまちです。このまちに「みやぎ県南医療生協」が誕生したのは、今から15年前の1995年のことです。設立当時、組合員になったみなさんは、地域ごとにブロックを構成し、自分たちの医療生協を支えてきました。しかし、それを支部へ変えていく作業がなかなかすすみませんでした。いつの間にか、一部の世話役さんへの依存度が高くなり、活動の担い手が増えず、支部づくりが難しくなっていたのです。

ブロックから支部へ

柴田町の市街地を抜けると、白石川と阿武隈川が落ち合う地点があります。槻木(つきのき)という地域です。この地域を舞台に活動していたのが槻木ブロックの組合員さんたちです。ブロック長をはじめとした世話役さんたちは、機関紙を配付したり、保健部といっしょになって健康づくりにとりくんだり…。様々な活動をしてきました。

しかし、南北およそ15キロメートル、その大半は山間部という槻木地区で、きめ細かな活動をするのは大変なことでした。1人の力には限りがあります。時には息切れもします。地域や組合員のニーズに応え、さらに医療生協らしい活動を繰り広げるためには、やはり支部が必要です。1日も早く支部をつくろうという機運は、日を追うごとに高まっていきました。槻木ブロックは05年以降、意識的に健康講話、地域の史跡散策、昼食交流などの企画をふやし、地域組合員との出会いの場を拡大していきました。その結果、組合員の参加数が右肩上がりでふえていきました。そのなかで支部運営委員づくりもすすめました。そして、09年の秋、やっと念願の支部を設立しました。

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(写真 左から)「僕は楽しいことづくりに専念するよ」副支部長の畑井馨さん「できたら配食サービスも始めたい」運営委員の平間省子さん「食事会とか喫茶室。とにかく人が集まる場所にしたい」運営委員の島田いち子さん「班会も大事にしたいね」運営委員の吉田仁さん

新しい支部

大野朝男さんを支部長に据えた槻木支部は、21人の運営委員を確保してその陣容を整えたのです。そして、新たな気分で支部の運営について話し合いました。その中でもっとも大事にされたこと。それは、お互いに共感・納得できる「決め方」をしようということでした。

そのためには地域の状況や支部の課題をきちんと整理し、誰にでもわかる提案を作成する必要があります。そこで、事務局(支部長、副支部長、会計、担当理事)を構成し、運営委員会の前に必ず会議を開き、その点を検討することにしました。また、運営委員会の開催に当たっては、資料の事前配布を心がけることにしました。組織運営の原則をきちんと守り、手間と暇をかけなければ、みんなの力を結集するのは難しい。ブロック時代の反省を支部に活かしたのです。

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(写真 左から)「組合員さんの自覚が芽生えるような企画をつくりたいね」運営委員の本多敬子さん「地域の関心事に応えていく活動を大事にしよう」運営委員の金野一彦さん広い部屋は健康づくりにも使えます

何かが変わった

支部を設立して1年。この間に、ブロック時代とは違う変化がたくさん生まれました。

運営委員のみなさんがいいます。 「企画が立てやすくなったし、実行しやすくなった。担い手さんが増えたからね。それに、ブロック時代に比べると組合員参加が増えている。3倍以上になっています」 「医療生協だよりや支部ニュースを配達してくれる人も倍増しました。前は、1人で50部とか60部配っていたんですが、今は1人平均10部くらいかな。余裕ができた分だけ配達先での対話も増えましたね」

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槻木事務所で、さっそく開かれた貼り絵の班会

発言が続くなか、畑井紀代子理事が、小さく手を上げました。 「私もひと言。私が一番変わったと思うこと。それはね、前みたいにいちいち連絡しなくても、みんな、集まる時にはきちんと集まるようになったってこと。それは支部運営委員としての自覚、地域に対する責任感みたいなものが今まで以上に確かなものになった、そういうことじゃないかと思うんです。この変化が何より大きいんじゃないかな」

支部長の大野朝男さんがいいます。 「集まる時に集まる。やるべきことをやる。約束は守る。当たり前のようなことだが、これがなかなか難しい。しかし、こういう原則を放置したら集団や組織はすぐ壊れてしまう。槻木支部は、今のところは、合格だな」

「そのうちどうなるかわからないってかい? 心配しなくても大丈夫だァ!」 おどけた運営委員さんの声に笑い声がはじけました。

槻木事務所

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みんなで始めたノルディックウォーキング。背筋を伸ばして、朗らかに

阿武隈川沿いにある住宅地の一角。そこに槻木支部の拠点ができました。それが槻木事務所です。常務理事の村上久美子さんがいいます。 「支部を立ち上げたら、次は拠点づくり。いろいろ物色したけど、条件にあった物件を見つけるのはなかなか大変。この民家に出会えたのは幸運でした。なんとしても手に入れたいと思いましたね。理事会で論議に論議を重ねて、やっと購入したんです」

それは大きな一軒家。当面は地域活動の拠点とし、やがては、みやぎ県南医療生協の高齢者事業の拠点としても活用する、という長期的な展望のもとでの決断でした。ともあれ、この拠点をフルに活用し、地域のみなさんと医療生協がふれあえる場づくりを積極的に展開していこうということになったのです。

「1年生支部」は明日へ向かう

新しき支部、槻木支部には明日へ向かうエネルギーがあります。運営委員の吉田仁さんがいいます。 「組合員になってよかったということを、地域の組合員1人ひとりに実感してもらえるようなとりくみをしたいね。それが、支えあいでも、交流会でも、なんでもいいと思うんだ。槻木事務所があれば、いろいろ考えられる」

大野朝男支部長が続けます。 「そうだね。支部の組合員が年に1回、何でもいいから何かの企画に参加する。そんな企画をみんなで考えていこう」

女性の運営委員さんたちがいいます。 「食事会や配食サービス、おしゃべりのできる喫茶室。そういう出会い、ふれあいの場もぜひ実現したい」

夢は実現するためにある。その準備は着々とすすんでいるようでした。

最後に常務理事の村上久美子さんが締めくくりました。 「8つあったブロックのうち、支部になったのはまだ3つ。残った5つのブロックが1日も早く支部になれるよう、援助し、応援できる。そんな支部にもなりたいですね。たとえ1年でも槻木は先輩支部。ま、みなさん、楽しくがんばって力をもっとつけましょう!」

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(写真 左から)「地域の組合員さんが気軽に参加できる、参加しやすい企画が大事」大野朝男支部長「もっと力をつけて支部づくりを応援していこう」常務理事の村上久美子さん「地域に医療生協の魅力をもっと宣伝しよう!」運営委員の真壁健一さん「自主性が出てきたし、自立する力がついたよね」理事の畑井紀代子さん

まだ、スタートを切ったばかりの槻木支部。ですが、その波動は、みやぎ県南医療生協の歴史を変える風になる。そんな印象が強く残りました。

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槻木支部のたまり場「槻木事務所」。将来の事業展開が期待されている

<みやぎ県南医療生協>
●設立年月日 1995年7月7日
●組合員数 5,400人
●出資金 8,211万5,000円
●支部・班数 3支部 5準備支部(現ブロック) 65班
●事業所 医科診療所1 介護関連2
<槻木支部>
●設立年月日 2009年9月27日
●組合員数 561人
●班数 9班
●支部運営委員 21人
※2010年9月3日現在